1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02680061
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 金次 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (20031643)
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Keywords | 養殖魚 / 硬さ / 脂質含量 / K値増加速度 / コラ-ゲン / 圧出ドリップ |
Research Abstract |
筋肉成分の特徴やその死後変化を詳細に検討し、養殖魚の風味やテクスチャ-を支配している要因を、天然魚との比較において,解明することが本研究の目的である。平成2年度は主としてブリを対象として、養殖ー天然別、部位別に、脂質の含量とクラス組成、ATP関連物質(K値)の貯蔵中の変化速度、コラ-ゲン含量、保水性、硬さなどを測定した。総脂質含量は、部位別には腹肉>背肉>尾肉の順であり、いずれの部位においても天然魚より養殖魚に多かった。脂質のうち極性脂質の量は部位や養殖ー天然の別にかかわらず、ほぼ一定(筋肉湿重量の約1%)であり、総脂質含量の差異はトリグセリド含量の差異に由来した。 5℃でのK値の増加速度は、ほぼ同じ大きさの魚体の場合、部位による差異を示しながらも、天然魚では3.1〜4.6%/日、養殖魚では5.5〜6.1%/日、と天然魚より養殖魚で大であった。また、全試料を通じて、脂質含量の多いものほどK値の増加速度が大きい傾向がうかがわれた。 圧出ドリップ量は、生肉では、腹肉および背肉で、養殖>天然の傾向がわずかにあり、加熱肉では腹肉においてのみ、差異が認められた。また、圧出ドリップ量測定時に、養殖魚の筋肉は圧力によって潰れ易い傾向が認められた。 筋隔膜を除いた筋肉のコラ-ゲン含量は、同一部位では天然魚より養殖魚にやや多く、部位別には、尾肉にやや多い傾向が認められた。 筋肉の硬さは、養殖魚より天然魚が若干硬く、同一部位では、筋肉が硬いほど脂質は少ないが、一方で、筋隔膜を除く筋肉部分のコラ-ゲンは硬いほど多い傾向がうかがわれた。
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