1990 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外合光法による食品タンパク質の非破壊分析法の確立
Project/Area Number |
02680064
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
的場 輝佳 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (10027196)
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Keywords | 近赤外 / 近赤外合光分析 / タンパク質 / 非破壊分析 / 定量分析 |
Research Abstract |
近赤外分光(NIR)法による食品タンパク質の定量分析を確立するために、以下に述べる食品タンパク質のNIR吸収スペクトルについて分光学的解析を行った。食品タンパク質として、卵白アルブミン、小麦ブルテニン、小麦グリアジン、大豆11Sブロブリン、ツェイン、牛乳カゼインを用いて、それぞれのNIR二次微分吸収スペクトルを解析したところ、いずれのタンパク質に対しても共通して2170nm付近に、特徴的でしかも顕著な吸収ピ-クが観察された。溶液状態および固形(粉末)状態で、タンパク質含量(ケルダ-ルN分析)と2170nmのNIR値との定量測定のための回帰分析を行ったところ、いずれのタンパク質においてもきわめて良好な回帰式(検量線)を得た。次に、牛血清アルブミンをモデルタンパク質として、塩類(食塩)、糖類(ブドウ糖、蔗糖)、アミノ酸(グリシン)、ペプチド(トリ-グリシン)、油脂(大豆油)の共存下で、また、pH、温度を変えた場合、2170nmの吸収ピ-クがいかなる変化を呈するのかを調べた。その結果、糖類、アミノ酸が共存した場合、あるいは、pHや温度が変化しても、2170nmの吸収波長はほとんど影響を受けなかった。塩類や油脂によってはわずかに影響を受けるが、試料中でこれらの濃度が大きく変わらない限り、実際の定量測定にはほとんど問題はないと考えられた。しかし、ペプチド類が共存するとタンパク質の定量に誤差を生じる可能性が高いことが示唆された。 以上の結果から、NIR法でタンパク質の定量測定を行う場合、2170nmの吸収波長を第一に選択して測定することが合理的であるといえる。
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