1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02680102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 孝晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (20135388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 達 生理学研究所, 生理機能研究施設, 助手 (50180550)
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Keywords | 身体運動 / 消化吸収 / 消化管通過時間 / 胃排出 / 小腸通過時間 / 大腸通過時間 / 断眠 / 亜鉛 |
Research Abstract |
身体運動が消化吸収に及ぼす影響について検討した。 1)イヌを用いた実験では、イヌに慢性胃・大腸瘻を造設し、運動が食物の消化管通過時間,胃、小腸、大腸運動機能などに与える影響を検討した。牛乳は運動の有無に関係なく小腸ですべて吸収され、消化管通過時間の測定が不能であった。固型食(肉)の消化吸収は血中脂質を測定して検討した。固型食の消化吸収は運動により遅延した。運動によって固型食の胃排出が遅延するためと推定された。胃、小腸、大腸運動は身体運動により亢進した。これは空腹時でも食後でも同様であった。 2)ヒトを対象とした実験は、運動によって食物の通過時間が変化するか否かを、消化管機能が低下していると考えられる高齢者9名(平均年齢71歳)を被験者として行った。一日平均3700歩の安静と、12800歩の運動をそれぞれ2週間続け、小腸、大腸、全消化管通過時間を測定した。小腸通過時間はラクツロ-スによる呼気中水素の測定(クイントロン社マイクロライザ-,新規購入)によった。大腸通過時間はX線非透過性のマ-カ-を服用させ,一定時間後に腹部のX線写真を撮影して、残存するマ-カ-の数から推定した。全消化管通過時間はカルミン服用後、便が着色するまでの時間とした。小腸通過時間は安静時、運動時とも差がなかった。大腸通過時間は、安静時19.5時間であったが運動により11時間と短縮した。全消化管通過時間は安静時26時間に対し、運動時22時間と短縮した。 3)運動が微量元素の吸収に与える影響を、血中亜鉛を測定して検討した。血中亜鉛は身体運動によって変動しなかったが、断眠下の身体運動という強いストレスでは低下した。 以上、身体運動は消化管機能を変化させるとともに、種々の食物の消化吸収に影響を与えることがわかった。
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[Publications] 近藤 孝晴: "高齢者の消化管通過時間と歩行の効果" 日本臨床生理学会雑誌. 20. 135 (1990)
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[Publications] 近藤 孝晴: "運動と消化管機能" 体力科学. 39. 650 (1990)
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[Publications] T.Kondo,Y.Toda,H.Matsui: "Effects of exercise and sleep depriration on serum zinc" The Journal of Trace Elements in Experimental Medicine. 3. 247-254 (1990)
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[Publications] 近藤 孝晴: "高齢者における歩行運動と消化管通過時間" MOTILITY. 8. 15 (1990)
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[Publications] 近藤 孝晴: "高齢者における歩行運動と消化管通過時間" 総合保健体育科学. 14. (1991)