1990 Fiscal Year Annual Research Report
“体力年齢"と“生物学的年齢"の関連とその性差の検討
Project/Area Number |
02680103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 栄太郎 京都大学, 教養部, 助教授 (00026808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 敏夫 京都大学, 教養部, 助教授 (90175638)
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Keywords | 老化 / 中高年者 / 体力年齢 / 生物学的年齢 / 主成分分析 |
Research Abstract |
標記研究課題を3年間で達成するため、次の4つの研究計画、1)体力の優れた人が、生物学的にみて、いわゆる生命力においても優れているか、2)その性差は、3)規則的な身体トレ-ニングの実施が早期老化現象の予防に役立つか、4)体力年齢と生物学的年齢の推定式を大標本を用いて標準化する、を立てた。本年度は1)と2)の研究成果について報告する。 滋賀県下に存在する成人男性69名、成人女性65名の生理的計測値18項目から計算された相関行列と体力5変数から計算された相関行列に、老化の指標としての生物学的年齢の推定式を求めるに当たって、既に我々によって開発された「主成分モデル」を適用した。そして男女別に体力年齢と生物学的年齢の推定式を求めた。 被検者全員について推定された体力年齢と生物学的年齢をもとに、両者の相関を求めたところ、男性で0.72、女性で0.70の相関を得た。従って、男女とも、一般に体力の高い水準にある人は、生物学的にみても良好な状態にあると言える。しかし相関係数が0.70ということは、体力年齢で生物学的年齢を推定したとき、全分散の約50%しか説明できないということを意味する。従って、相当な個人差が存在すると考えられる。 生物学的年齢の推定式、いわゆる第一主成分の全分散に対する各説明変数の分散(%)、すなはち相対的貢献度を計算したところ、男性では、生物学的年齢を決定するうえでHR(18.1),SBP(17.1),TG(16.9),FVC(13.3),AI(13.6)が、女性では、SBP(31.5),LDH(22.0),TG(14.8)が、比較的大なる貢献度を示した。女性の生物学的年齢を決定するうえで貢献度の大きいSBP,AI,TGの変数の異常は、冠動脈硬化性心疾患の危険因子と見なされる。このことは、女性が男性よりも生物学的になぜ優れているかを説明したWilliams(1957)の「複素性遺伝子」の仮説によく合致すると考えられる。
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[Publications] E.Nakamura,T.Moritani,and A.Kanetaka: "Biological age versus physical fitness age in women" European Journal Applied Physiology. 61. 202-208 (1990)
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[Publications] E.NaKamura: "A study on the basic nature of human's biological aging processes based upon a hierarchical factor solution of the ageーrelated physiological variables" Mechanisms of Ageing and Development.