1991 Fiscal Year Annual Research Report
中国少数民族エスニックスポ-ツのスポ-ツ人類学的基礎的研究
Project/Area Number |
02680115
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Research Institution | WASEDA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寒川 恒夫 早稲田大学, 人間科学部, 助教授 (70179373)
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Keywords | エスニックスポ-ツ / スポ-ツ人類学 / 中国少数民族 |
Research Abstract |
本研究は「中国少数民族エスニックスポ-ツのスポ-ツ人類学的基礎的研究」の題の下に、2ケ年度にわたって,雲南省と広西省に居住する少数民族のエスニックスポ-ツについて、その資料集を作成することを目的としている。 目的遂行のために,初之度(平成2年度)は、当該民族のエスニックスポ-ツに関してこれまでに公刊された研究・調査の文献目録がまとめられ,2年度(平成3年度)は,この目録に基づいて収集された文献,そして中国側研究協力者による情報提供,および研究代表者による当該民族地域におけるフィ-ルドワ-クから、民族スポ-ツ誌を作成し,加えて,文献目録と合わせた成果報告書をとりまとめることがおこなわれた。 民族スポ-ツ誌のとりまとめに際しては,16民族80余種が対象とされた。全体を通観すると,これらエスニックスポ-ツは,これをおこなう民族の独特の生活・文化と深く関り,そして多くの所で,民族のアイデンティティ-を確認・再生産する社会的機能を有している。また,エスニックスポ-ツは,当該民族にのみ通用する,いわば民族的に閉じられた文化コ-ドに沿って展開しているといってよい。この点は,今日われわれが日常的に接する野球やテニスなど国際化した(つまり超民族的な)近代スポ-ツには見い出しがたい特微である。 今回の研究は雲南省と広西省に限定されたが,もとより,これをもって本研究課題の意図が全うされたわけではない。中国の他地域における同様の研究作業が望まれるし,さらには,日本を含めた世界のエスニックスポ-ツについてのデ-タベ-ス化が急がれるのである。民族の伝統的文化遺産としてのエスニックスポ-ツが,世界の各地で,近代化に伴って急速に消滅しつつあるからである。
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