1991 Fiscal Year Annual Research Report
ハ-ダ-腺由来細胞成長因子、増殖抑制因子によるハ-ダ-腺細胞の分化の調節機構
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02680127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加納 和孝 東京大学, 医学部・(医), 助手 (70111507)
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Keywords | ハ-ダ-腺由来細胞成長因子 / ハ-ダ-腺初代培養細胞 / ノ-アルキル-2,3-ジアシルグリセロ-ル / 脂質合成 |
Research Abstract |
今年度は主としてハ-ダ-腺由来細胞成長因子(HGDGF)のクロ-ニング及びハ-ダ-腺培養細胞系の確立とその細胞への細胞成長因子の作用についての実験を行った。前年度に判明したアミノ酸配列からモルモットで比較的多く用いられるコ-ド等を勘案していくつかのプロ-ブを合成した。鎖長は、短いものは20塩基、長いものは46塩基である。これらを用いてハ-ダ-腺cDNAライブラリ-を検索し、約600個のクロ-ンを得た。更に最長のプロ-ブを用いて2次検索を行った結果、62個のクロ-ンを得た。現在これらの詳しい塩基配列の解析を行っている。 ハ-ダ-腺細胞の培養系を確立するために、まず培地、血清の検討を行った。試験した培地はDMEM、RPMI1640、M199等9種、血清は牛胎児、牛、馬、モルモット等7種類であった。このうち培地ではDMEM、血清では牛胎児血清がハ-ダ-腺細胞の特徴であるノ-アルキル-2,3ージアシルグリセロ-ル(ADG)の合成能を保ったまま初代培養が出来ることが判った。また増殖効果だけでみると馬血清が最もよく細胞の増殖を促進することが示された。この培養系を用いてそれぞれの細胞成長因子ホルモン等の作用を調べた。ハ-ダ-腺培養細胞はacidic FGF、basic FGF、EGF、PDGF、IGFーII等細胞成長因子までその増殖が程度の差はあれ促進される。HGDGFも非常に強く増殖を促進した。またインスリン、デキサメサゾン、プロラクチン、トリヨ-ドチロニン(T_3)等も弱いがハ-ダ-腺細胞の増殖を促進することがわかった。しかしながらT_3を除くこれらの特質はADGの合成は促進しなかった。またTGFーβは細胞の増殖、ADG合成共に阻害した。これらの結果は、この培養系において、ADGが細胞の増殖期でも合成されている可能性を示しており、脂肪細胞とは異る代謝パタ-ンを持つことが明らかになった。
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Research Products
(1 results)