1990 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシド生合成に関与するシアル酸転移酵素の単離とその細胞生物学的役割の解析
Project/Area Number |
02680128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐内 豊 東京大学, 医学部, 助手 (40150289)
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Keywords | ガングリオシド / シアル酸 / 糖転移酵素 / 癌 |
Research Abstract |
動物細胞表面にアンテナ様にその糖鎖を露出し、細胞の外界との情報のやりとりを担う分子として注目されている糖脂質糖鎖は、細胞の発生、分化、癌化によって大きく変動する。このことは、発生、分化、癌化に糖脂質糖鎖が介在する細胞認識や情報伝達系が存在することを予期させる。そこで、このような細胞活動の各局面における糖脂質糖鎖の役割を解析するためには、糖鎖の変動をもたらす諸因子を解析することが本質的である。本研究は、以上の研究背景と問題意識に基づいて、生理活性を持つシアル酸含有糖脂質(ガングリオシド)の生合成を担うα2ー8シアル酸転移酵素の完全精製およびその生理学的意義の解析を目的にして遂行している。α2ー8シアル酸転移酵素の完全精製:シアル酸転移酵素は極めて不安定でその精製は予想以上に因難を極めた。したがってより効率のよい膜蛋白質精製法の開発に迫られた。まず、ゴルジ装置調製が標準化されているラット肝臓を材料として膜酵素であるシアル酸転移酵素の可溶化条件を調べた結果、その活性はTriton CFー54やTriton Xー100で効率よく回収できた。つぎにシアル酸転移酵素をタンパク質レベルで検出し、分子量やサブユニット構造を解析するために、ゲル電気泳動で汎用されているイオン性界面活性剤であるSDSを用いて可溶化を試みたが、活性は回収出来なかった。そこでこの目的に適用できるイオン性界面活性剤を検索したところ、GD3合成酵素の活性はポリオキシエチレンラウリルエ-テル硫酸ナトリウム/ラウリルジメッチルアミンオキシド(7:3)により可溶化されることを見いだした(平成2年日本生化学会発表)。現在この界面活性剤の存在化でポリアクリルアミドゲル電気泳動を、活性バンドの検出を試みており、同定が出来たなら直接アミノ酸配列の決定を行なう予定である。
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