1992 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質合成酵素阻害剤による細胞膜糖脂質の発現と機能の調節
Project/Area Number |
02680130
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上村 敬一 信州大学, 医学部・心臓管病研, 助教授 (80012756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武富 保 信州大学, 医学部・心臓管病研, 教授 (30020704)
原 厚 信州大学, 医学部・心臓管病研, 講師 (70126697)
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Keywords | 糖脂質 / 糖脂質生合成 / スフィンゴ脂質 / ガングリオシド / 神経芽細胞腫 / 神経突起 / 細胞分化 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
糖脂質合成酵素阻害剤threo-PDMP(1-phenyl-2-decanoylamino-3-morpholino-1-propanol)は,マウス神経芽腫細胞に対して,その糖脂質合成の全体を強く抑制し,細胞の糖脂質含量を経時的に減少させるとともに,細胞増殖と神経突起伸展を抑制することをすでに報告したが,今回さらに以下の知見を得た. 1.PDMPの添加によりグルコシルセラミドの合成が阻害される結果,NS-20Y細胞のセラミド含量は対照にくらべ約30%増加することを認めた.全リン脂質量には変化がなかったが,スフィンゴミエリンは6〜7%の増加を示した.これらの結果は,すでに報告した代謝標識で得られた結果を支持した. 2.3種の培養細胞株(NS-20Y,Neuro2a,N1E-115)の全てで,serum-free medium中で起こる神経突起の伸展がスフィンゴシンの添加により抑制されることが確かめられた.また,神経突起の退縮を経時的に追跡したところ,スフィンゴシンの効果は可逆的であり,PDMPの添加による効果と類似していた. 3.種々のスフィンゴ脂質の添加による神経突起伸展の抑制について検討したところ,N,N-dimethylsphingo-sineが最も強い抑制効果を示した(50%阻止濃度〜0.1μM).次いでsphingosine(〜0.8μM),N-hexanoyl-sphingosine(〜1μM),N-acethylsphingosine(〜10μM),ceramide(>50μM)の順に神経突起の伸展を抑制する効果を示した. 4.プロテインキナーゼ阻害剤,H-7(1〜50μM)は神経突起の伸展を全く抑制しなかったことから,これらのスフィンゴ脂質が示す抑制効果はプロテインキナーゼの阻害とは直接関連していないと考えられる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hattori, H.: "Glycolipids of human pancreatic cancer.The appearance of neolacto-series(type 2 chain)glycolipid and the presence of incompatible blood group antigen in tumor tissues." Biochim. Biophys. Acta. 1125. 21-27 (1992)
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[Publications] Hara, A.: "Anti-coagulant activity of sulfatide and its anti-thrombotic effect in rabbit." J.Biochem.(1993)
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[Publications] 中山 淳: "正常胃粘膜及び慢性萎縮性胃炎における血液型関連糖鎖抗原の発現" 病理と臨床. 10. 1220-1226 (1992)