1991 Fiscal Year Annual Research Report
細胞刺激応答反応におけるプロテインキナ-ゼC分子群の機能分担に関する解析
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02680165
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Research Institution | The Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
秋田 朗子 東京都臨床医学総合研究所, 遺伝情報研究部門, 研究員 (40124432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 茂男 横浜市立大学, 医学部第二生化学教室, 教授 (10142027)
矢島 由紀子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究部門, 研究員 (60090114)
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Keywords | プロテインクナ-ゼC / ホルボ-ルエステル受容体 / 細胞内情報伝達 / カルシウムイオン / ダウンレギュレ-ション / ホルモン / ホルボ-ルエステル / セリン・スレオニンリン酸化酵素 |
Research Abstract |
昨年度我々は、ラット下垂体由来GH細胞においてCa^<2+>依存性のプロティンキナ-ゼC(PKC)のαとβII、およびCa^<2+>非依存性のnPKCεが発現しているが、視床下部ホルモンであるTRH(Thyropinーreleasing hormon)の処理によって細胞内から消失(ダウンレギュレ-ション)する分子種は、専らnPKCεであることを報告した。 本年度は更に、THR応答性の細胞内Caプ-ルを枯渇化したGH細胞において、TRH刺激によるプロラクチン(PRL)分泌をラジオイムノアッセイ法で調べたところ、基礎値に比して有意の分泌上昇を示した。この分泌上昇はnPKCεを含むPKC阻害剤であるH7によってほぼ完全に抑制された。更に、ホルボ-ルエステルの前処理によってcPKCのβIIとnPKCεを消失させた細胞においても、このPRL分泌上昇は消失した。これらの結果は、nPKCεがTRH刺激によるCa非依存性のPRL分泌に関与していることを示唆する。 我々は、cDNAのクロ-ニングにより、構造的にnPKCεのグル-プに属する分子種(δ,ε,ξ,μ,θ等)を多数発現しており、これら分子種の生化学的特性がCa非依存性の点で従来のPKC分子種と明らかに区別できることを示して来ている。このことは、細胞の多様な刺激応答系にはCa依存性のPKC分子種を介する経路と共に、Ca非依存性の分子種を介する経路が存在することを示唆する。しかし、生理的な刺激応答系において特定のPKC分子種が介在することを明らかにした研究は極めて少なく、特に、nPKCに関しては、TRHの作用点にεを位置づけた今回の我々の研究結果が世界で初めてであり、PKC研究の新たな展開に資する成果であると確信する。 現在、更に、分子生物学的手法の導入による研究成界を公表するために結果をとりまとめているところである。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Akita,Y.: "Expression and properties of two distinct classes of the phorbol ester receptor family,four conventional protein kinase C types and a novel protein kinase C." J.Biol.Chem.265. 354-362 (1990)
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[Publications] Akita,Y.: "Possible role of Ca^<2+>-independent protein kinase C isozyme,nPKCε,in thyrotropin-releasing hormone-stimulated signal transduction: Differential down-regulation of nPKCε in GH_4C_1 cells." Biochem.Biophys.Res.Commun.172. 184-189 (1990)
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[Publications] Osada,S.: "A phorbol ester receptor/protein kinase,nPKCη,a new mem-ber of the protein kinase C family predominantly expressed in lung and skin." J.Biol.Chem.265. 22434-22440 (1990)
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[Publications] Yajima,Y.: "Ca^<2+>-independent secretory mechanism of thyrotropin-releasing hormone (TRH) involves protein kinase C in rat pituitary cells." Biochem.Biophys.Res.Commun.173. 571-577 (1990)
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[Publications] Mizuno,K.: "Structure and properties of a ubiquitously expressed protein kinase C,nPKCδ." Eur.J.Biochem.202. 931-940 (1991)
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[Publications] Ohno,S.: "Stuructural and functional deversities of a family of signal transducing protein kinases,protein kinase C family; two distinet elasses of PKC,conventional cPKC and novel nPKC." Advances in Enzyme Regulation. 31. 287-303 (1991)
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[Publications] 秋田 朗子: "細胞内情報伝達系の基礎知識、DGープロテインキナ-ゼC系 Clinical Neuroscience" 中外医学社, 35-37 (1991)
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[Publications] 大野 茂男: "Protein Kinase C isozymeと細胞機能脳と免疫研究" (1992)