1990 Fiscal Year Annual Research Report
メスバウア-分光法によるガラス固化体の酸化還元状態の研究
Project/Area Number |
02680177
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 正知 北海道大学, 工学部, 助教授 (40117122)
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Keywords | ガラス固化体 / ガラス溶融炉 / 鉄イオン / 酸化還元 / メスバウア-分光法 / 化学分析 |
Research Abstract |
1.序 高レベル放射性廃液ガラス固化体の製造を続けると、溶融炉に白金属元素を主とする金属析出物、ニッケルフェライト等を主とするセラミックス析出物が生成する場合がある。金属析出物は溶融炉の抵抗を著しく低下させる。一方、セラミックス析出物は溶融ガラスの粘度を増加させガラス取り出し制御を難しくする。この問題を解決する上で、溶融炉の酸化還元条件の制御が重要と考えられる。 酸化還元条件を知るには、ガラス中の2価と3価の鉄の比を知る必要がある。本研究では、化学分析法とメスバウア-分光法にもとづき検討した。 2.実験 模擬ガラス固化体をガラス融剤と核分裂生成元素の酸化物や炭酸塩として所定の組成になるよう秤量混合したのち、白金ルツボに入れ1150℃で溶融した。冷却後低速ダイアモンドカッタ-で10×10×0.5mm^3切断し、試料2枚をNi/NiO,Co/CoO,Fe/FeO,Mo/MoO_2の酸素ポテンシャル緩衝材の一つとともにCO_2雰囲気下で石英溶封した。この試料を450℃で最大1週間加熱した。1)化学分析法、加熱終了後の試料1枚を乳鉢で粉末とし秤量したのち白金ルツボに入れ、フッ化水素酸と硫酸を0.5mlづつ加え加熱した。SiをSiF_4として十分追い出し、残渣をpH3のHCl溶液に溶かしたものと、Lーアスコルビン酸で鉄をすべて2価とした溶液の双方について分光光度法により定量したFe^<2+>/Fe^<3+>比を決定した。2)メスバウア-分光法による異性体シフトからFe^<2+>/Fe^<3+>比を求めた。 3.結果と考察 450℃の結果では、溶融状態で1件だけ報告のあるFe^<2+>/Fe^<3+>比が酸素ポテンシャルに対し傾き1/4となる単純な関係とはならなかった。これは、ガラス状態ではFe^<2+>,Fe^<3+>が加熱期間中に微細な結晶として析出するためと考えられる。今後、同様な研究を800℃付近と1150℃の溶融状態の双方でも測定し、析出物やガラス中の鉄の酸化還元を見る。
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