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1991 Fiscal Year Annual Research Report

泥炭層の物理的分析からみた後氷期における山地斜面の安定性の変遷 ー自然環境の変化および森林破壊とのかかわりー

Research Project

Project/Area Number 02680201
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

相馬 秀廣  奈良女子大学, 文学部, 助教授 (90196999)

Keywords泥炭層 / 無機物の混入率 / 分解度 / 後氷期 / 降水量変化 / 斜面の安定性 / 森林破壊
Research Abstract

1.多雪山地である北アルプスに分布する餓鬼ノ田圃において泥炭層を採取し,無機物の混入率および分解度の変化に関する物理的分析をおこなった.その結果,以下の点があきらかとなった.
(1).当泥炭地であ,約12000年前頃からの一時的な多雪化に対応して,泥炭層の堆積が始まり(第一沼沢化),その後現在まで連続的に堆積してきた.8ー9000年前頃からの本格的多雪化に対応して,安定した泥炭堆積期となる(第二泥沢化).第二沼沢化が始まる以前は斜面の安定性が低かったため,尾根部にある餓鬼ノ田圃に比べて,北アルプスの山麗部ではその影響を強く受けて泥炭の堆積開始が第二沼沢化まで遅れた.
(2).第二沼沢北以降の泥炭層は木本質遺体にとみ,それ以前に比べる少ないものの無機物もほぼ定常的に混入している.花粉分析から,相対的にやや乾燥した環境が示唆される.Ahテフラが降下した直後の6000年前頃は,尾根部にある餓鬼ノ田圃では泥炭の堆積速度が著しく小さく,とくに乾燥していた可能性が高い.
(3).3ー4000年前から,低温化と消雪化と消雪時期の遅れにともない,泥炭層の堆積は最も活発となる(第3沼沢北).当地では,主な地下水供給方向と泥炭地が拡大できる緩斜面とが反対で,変形ブランケット泥炭地となった.
2.餓鬼ノ田圃で第三沼沢化が始まった頃,南岸低気圧で雪が降る奈良県東部の曽爾高原お亀池湿原では逆に地下水位が低下している.
3.マツ属花粉の急増で示される人為的な自然林の破壊は,餓鬼ノ田圃では表層(深さ3cm)で認められ,お亀池湿原では1500ー2000年前から認められる.大台ケ原ではスギ属深粉の急増から,数100年前頃から始まった.これらは平野からのアプロ-チの難易度を反映し,難しい地域ほど自然林の破壊が遅いことを示している.

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 相馬 秀廣: "無機物の混入率および分解度の変化からみた北アルプス・餓鬼ノ田圃における泥炭堆積環境の変化" 奈良女子大学文学部研究年報. 35. 33-47 (1991)

  • [Publications] 相馬 秀廣: "多雪地域の泥炭地における沼沢北にともなう堆積の中心地域の移動・拡大" 奈良女子大学地理学研究報告. IV. 109-126 (1992)

URL: 

Published: 1993-03-16   Modified: 2016-04-21  

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