1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02680202
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横山 勝三 熊本大学, 教育学部, 教授 (40015847)
|
Keywords | 大規模火砕流 / シラス台地 / 水成シラス |
Research Abstract |
本年度行った野外調査および室内作業の成果の概要は以下のとおりである。 1.鹿児島県大隅半島の笠野原台地は、九州南部におけるシラス台地の中では最大の面積をもつ最も代表的な火砕流台地であるので、最重点的に野外調査を行った。その成果は、別冊の実績報告書にまとめた。 2.笠野原以外の幾つかの地域(鹿児島市地域,薩摩半島南部の加世田市〜川辺町地域,姶良カルデラ北方国分市地域,熊本県人吉盆地地域)における主なシラス台地についても野外調査を行った。その結果、水成シラスおよび火山灰層の分布状態がかなり明かになり、シラス台地の生成過程(生成様式や生成時期)は、シラス地域全域を通じてほぼ同様に考えて良いことが明かとなった。しかし、火砕流堆積面や水成シラス面の発達状態(分布面積の割合など)には、地域的差異が認められることも明かとなった。 3.前年度までの成果を踏まえて、九州山地南部や宮崎平野北部地域などでシラス(入戸火砕流堆積物)の分布に関する野外調査を行った。その結果、シラスは、当初、姶良カルデラから約90km離れた地域まで、谷底部にかなり普遍的に分布していたが、その後、大半の堆積物が侵食で除去されたことが明かとなった。 4.大規模火砕流台地の生成過程を一般的に考察するために、北海道の大規模な支忽および洞爺火砕流堆積物の野外調査も行った。その結果、とくに支忽火砕流堆積物に関しては、シラス地域の場合と同様、火砕流の堆積直後の開析過程で生じたと思われる水成堆積物や河成段丘などが存在することが明かとなった。 5.野外調査で採取した各地の火山灰の鉱物分析および水成シラスの粒度分析を行った。とくに水成シラスの粒度組成は、シラスとの識別および水成シラスの生成過程を知る際の重要な指標となることが明かとなった。
|
-
[Publications] 横山 勝三: "鹿児島県笠野原台地の地形と生成過程" 地理学評論.
-
[Publications] 横山 勝三: "入戸火砕流堆積物の分布北限" 火山.
-
[Publications] 横山 勝三: "巨大火砕流のハザ-ドマップ-主に入戸火砕流に基づく考察-" 火山.