1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02680221
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橘 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (70126118)
|
Keywords | 蛋白質 / リゾチ-ム / 構造形成 |
Research Abstract |
この研究の目的はニワトリ・リゾチ-ムのカルボキシル末端側、種々の位置までのポリペプチド鎖を遺伝子工学的手法を用いて作製し、それらの高次構造を調べる事である。1990年度の研究結果からは、以下に述べるように、全体の立体構造形成におけるカルボキシル末端領域の重要性が示唆された。先ず大腸菌での発現に関しては、リプレッサ-遺伝子のコピ-数を増大させても、rich meduiumを培地に用いて場合、非誘導時の発現の抑制は完全ではない事、一方、Mg+カザミノ酸を用いると抑制が完全にかかる事がわかった。発現させたポリペプチドの一次構造については、アミノ末端およびカルボキシル末端部のアミノ酸配列は予想通りのものであった。これらのポリペプチドがジスルフィド結合欠損下でどの程度の高次構造をとるかを見る為に、変性・還元、システイン残基をcarboxamidomethyl化した物の円偏光二色性測定を行った所、nativeな全長分子の3ー4割程度の高次構造が見られ、残基当たりの構造量はmodule5を含む融合体において比較的多い事がわかった。次いでジスルフィルド結合の再生操作を行った所、逆相クロマトグラフィで見る限り、module1+2+3+4+5と2+3+4を除いては10種以上の分子種の混合物であり、再生に伴う高次構造の増加は、module1+2+3+4+5を除いては、module2+3+4+5において最も大きい事がわかった。以上、これまでの実験結果は、アミノ末端から順次独立に高次構造形成が起こると言うよりは、カルボキシル末端に近いある領域に至って初めて、協同的に構造形成が起こることを示唆する。しかし、再生混合物の酵素活性測定によれば、module1+2+3+4も、module2+3+4+5と同程度の活性を示すので、今後、再生混合物からジスルフィド結合パタ-ンが単一の分子種を分種を分離・分取し、それらの高次構造を調べる予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Tachibana,H.: "An'initiatorーterminator vector' suitable for direct expression of genic segmens in Escherichia coli" Protein Engineering. 3. 371 (1990)
-
[Publications] 大田 勝之: "カルボキサミドメチル化リゾチ-ムモジュ-ル複合体の残存構造" 生物物理. 30. S319 (1990)