1990 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュ-タ教材における画像表示の略図性に関する研究
Project/Area Number |
02680229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐伯 胖 東京大学, 教育学部, 教授 (60084448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 功 東京大学, 教育学部, 助手 (40210067)
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Keywords | CAI / ハイパ-カ-ド / 図形学習 / 認知過程 / 略図性 / パソコン教材 / 知識の内化 / 知識の外化 |
Research Abstract |
コンピュ-タによる学習の教材(CAI教材)にはさまざまなものがあるが,従来のものは,大きくわけて二つのタイプにわかれる。一つは,コンピュ-タを利用して,教材を細かいステップで提示し,学習者の反応の正誤に応じて提示する教材のコ-スを選択するという,プログラム学習の考え方をベ-スにしたものであり,もう一つは,LOGOやハイパ-カ-ドに代表されるような,学習者自身がコンピュ-タの画面上に自らの「作品」をつくり出しながら考える,というものである。前者は知識を「内化」させることによる学習であるのに対し,後者は学習者の「頭の中」を「外化」させることによる学習である。 本研究では,学習における知識の「内化」と「外化」の相互のインタ-ラクションこそが大切であるという考え方に立ち,そのことの実証的研究として,米国のThe Geometric SupposerとフランスのCabriという,二つの図形学習のソフトを実験的学習によって比較した。その結果,The Geometric Supposerが,画面上で学習者の反応を適度に「制限」することによって,かえって創造的かつ探究的作用を誘発することが明らかとなった。 ハイパ-カ-ドによる知識の「外化」の実証的研究として,富山県富山市立神明小学校の戸塚滝登氏の授業を分析した。戸塚学級では,「ニュ-ヨ-クの小学校の子どもたちに,日本について紹介する」という目的の下に,子どもたちが思い思いのハイパ-カ-ドのスタックを作成して,相互に討論をしていた。これは実際に電子メ-ルで米国に送られるのである。ここでは、知識の「外化」が,具体的な対話の相手を明確に意識することによって,きわめて有効であることが示されており、単なる「外化」そのものだけでは学習を支援するものではないことが明らかにされていた。
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Research Products
(1 results)