Research Abstract |
1,遺伝学雑誌,植物学雑誌および理学界等の専門雑誌の遺伝学関係論文に報告されている資料を収集した。その結果,遺伝教育を生物教育に取り入れた初期には,文部省検定試験に出題され,この内容が大きく影響を与えたことが明らかになった。現在,その成果を整理中であり,平成3年度の継続補助全を受けて出版する予定である。 2,トウモロコシ(ピ-タ-コ-ン,市販),ダイズ(T219),Brasica(RCBr)を用い,メンデルの優性・分離の法則が検証出来るかどうかを確認した。その結果,トウモロコシ,ダイズでは、ともに3:1の理論値に近い実験値が得られた。また,ダイズの場合,自家受精を行うので系統の維持が容易で,極めて教材的価値が高いことがわかった。平成3年度には,このダイズを大量に増殖させて実際の教育現場で生徒実験に使用して評価する計画である。Brasicaについては,一世代に要する時間が1か月と速く,短期間で実験結果が得られる有用な系統であることがわかった。ただし,植物体がやや弱く,管理が困難であった。選抜をくり返し,強い系統を作り出す事が課題として残る。 3,実際の受精現象を生きたままの状態で観察・記録するために,科研申請書に記した超高感度カラ-テレビカメラを購入し,蛍光染色剤(DAPI)で生体染色したユリの花粉および胚のうを観察・記録した。このことにより,従来,死んだプレパラ-トでのみ可能であった受精の観察が,生きたままの状態で可能となった。ただし,強い紫外線を照射するので,花粉や胚のうに阻害作用があることがわかった。今後検討を加える必要がある。 以上の通り,本研究によって大きな成果を得られた。平成3年度は,上記3を中心に,より改良を加えてゆきたい。
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