1992 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症児における算数的概念の形成とマイクロコンピュータ利用
Project/Area Number |
02680240
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
植村 哲郎 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (60040739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 治彦 鹿児島大学, 教育学部, 助教授 (80160555)
清原 浩 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (00041195)
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Keywords | 障害児教育 / ダウン症児 / コンピュータ / 算数的概念 |
Research Abstract |
文献研究と並行して、昨年に引続き2名のダウン症児と今年度から1名のLD児に、週に一度、研究室で指導や調査を行いながら、精神発達遅滞児の数学的概念の形成過程の特性に関する資料や情報の収集を行なった。また、障害児教育のためのコンピュータを用いた指導法を試みた。 障害児の指導方法(教育方法)は、教科の論理に即した体系性を持っていなければならないことは、必要条件ではあるが、十分条件ではないという意識のもとに、子どもと指導者との応答的な関係、心理学的な用語では共感的な関係を持ちながら、指導することの効果という視点から実践的な研究を進めた(植村、清原)。 具体的には、前年度までの研究から、お金の両替の考え方の理解が非常に困難で、また、数の概念の抽象化の過程と両替の考え方とは逆の思考が働いており、このことが、位取りの理解を困難にしている1つの理由であることがわかった。今年度は、両替の考え方は位取りの概念と密接に関係することに着目し、両替の考え方と位取りの仕組みを理解させる指導を重点的に行なった結果、1人のダウン症児とLDには、位取 りの構造を理解させることができた。1人のダウン症児には、共感的な関係を持ちながらの指導が有効であることが明確になった。 一方、障害児の学習へのコンピュータを利用では、キーボードだけを唯一の入力手段として利用するらは限界があり、また、出力についてもCRT画面だけの提示に限定されていては、障害児の注意力を集中させることは困難である。このことについて、大坪は実験的に成人健常者を被験者にしながら、入力は被験者の音声、出力はCRT画面のグラフィックスと音声の同時出力の試みを模索し、1台のパソコンで、それが充分可能であることを示した。
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Research Products
(1 results)