1990 Fiscal Year Annual Research Report
児童生徒,学生の生活構造と生体リズムに関する健康教育学的研究ー主体的学習教材開発に関する実験的研究ー
Project/Area Number |
02680248
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鈴木 路子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50092466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東郷 正美 東京大学, 教育学部, 教授 (70041283)
井上 光洋 東京学芸大学, 教育工学センター, 助教授 (60016491)
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Keywords | 保健学習 / 保健指導 / 主体的学習教材 / 生体リズム / THI自己観察調査 / 生活不規則性 / 多愁訴 / 生活構造 |
Research Abstract |
小中学生から大学まで学校教育の現場では、生活行動や心身状態に多くの問題が出現し、これら不適応症状や問題行動を持つ生徒への保健指導の客観的評価方法と問題発見の科学的方法論の開発は緊急な課題である。THI自己観察健康調査が、生理的心理的諸反応、性格行動、生活構造的特性と有機的に関連し、問題解決に有効な主体的保健学習教材であることが本研究の実践過程で確認された。 学校教育の現場で役立ち得る方法論を実証していく本研究の目的の第1段階は、山間僻地、海浜部など各種異なる地域環境特性を有する福島県いわき市立小中学校計9校を訪問し、全児童生徒を対象にとりあえず行った現地での実践調査、即ち、およそ1000名のTHIデ-タを処理プログラム(青木・鈴木・柳井)を用いて尺度の算出、個人プロフィ-ル作成、結果へのコメントをつけて各学校へフィ-ドバックすると今まで教育経験で感じていたことが改めて尺度化されたプロフィ-ルに現れていること、自らの心身状態と生活設計を積極的に考える契機となること等の反応があり、今後継続して、児童生徒の変容を追跡し健康教育に活かすことが各学校から提案されるに至った。一方教員養成系大学学生対象の生活時間・THI調査結果の分析結果からは、研究計画書段階で予測していた生体リズムの乱れ(生活不規則性)と無気力、多愁訴、情緒不安定、抑欝性等との関連が顕著に現れ、大学教育課程にも学生指導の一貫として自律的保健管理能力を養成していくことの必要性を痛感した次第である。同大学付属中学も同様に、本研究を契機として、THI調査の結果を生徒にフィ-ド・バックし、自主的に自分自身の生活構造・生体リズムを考え、自らの心身状態を尺度化された個人プロフィ-ルから考察、日々の生活健康管理に活かす一連の主体的保健学習プログラムを導入することとなった。児童生徒、学生等の心身状態、学校生活への不適応行動への予測・問題発見・評価に有効なTHI調査は、さらに国際理解教育教材としてブラジル・ボリビア児童を対象として実施検討中である。
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[Publications] 鈴木 路子、井上 光洋、東郷 正美、高崎 康行他: "THI調査による児童生徒の心身状態と性格傾向、生活行動等の問題発見の試みー福島県いわき市立小中学校計9校の実践事例からー" 学校保健研究. (1991)
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[Publications] 鈴木 路子、井上 光洋: "教員養成大学学生を対象にした生活構造と心身特性に関する研究ーTHI調査による自律的健康管理能力の育成に関する実証的研究ー" 日本教育工学雑誌. (1991)
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[Publications] 鈴木 路子、鈴木 庄亮、青木 繁伸: "THI調査児童生徒用改訂の試みー地域差・年齢層の特性を考慮してー" 学校保健研究. (1991)