1990 Fiscal Year Annual Research Report
集団主義的傾向の個人差と集団活動との関係についての研究
Project/Area Number |
02801011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 勧 東京大学, 文学部, 助教授 (80134427)
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Keywords | 集団主義 / 個人差 |
Research Abstract |
集団主義尺度試作版のうち半数の項目について,逆転項目を作成し,新たに約500名に対して実施した。同時に,Mehrabianの作成した親和傾向と拒否に対する感受性尺度,C.R.Snyder&Fromkinの作成した独自性欲求尺度,Triandisの作成した個人主義ー集団主義尺度などを実施した。 その結果,集団主義尺度に関しては,半数の逆転項目を含むものも十分な信頼性を持っていることを,Cronbachのαを算出することによって確認した。さらに,この集団主義尺度は,試作版と同様に既成の尺度と予測どおりの有意な相関を示していた。具体的には,他者の存在する状況で報酬を期待する傾向(親和傾向)および他者の存在する状況で罰を予期する傾向(拒絶に対する感受性)の両方の傾向と有意な正の相関は示していた。したがって,個人の集団主義的傾向はグル-プの他者から報酬を期待する傾向と,グル-プの他者から拒絶されることを恐れる傾向の二つから成っているという仮説は支持されたと言えよう。さらに,集団主義的傾向は独自性欲求と負の相関を持っていることも確認された。これは,集団主義的傾向が独自性欲求を低下させることを示唆している。さらに,高齢者ほど高い集団主義尺度得点を示すことも確認した。 一方,Triandisの作成した個人主義ー集団主義尺度は,親和傾向尺度と正の相関を持ち,独自性欲求尺度とは負の相関を持つという点で集団主義尺度と同じ傾向を示した。しかし,拒否に対する感受性尺度および年齢とは有意な相関を示さなかった。この点で集団主義尺度と異なっていた。このことから,集団主義尺度の弁別的妥当性も確認されたと考えられる。
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