1990 Fiscal Year Annual Research Report
就学前後の文章産出能力の発達ー文章産出における知識と感情の役割ー
Project/Area Number |
02801012
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (70017630)
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Keywords | 実験研究 / 観察研究 / 読み書き能力の発達 / 口頭作文 / 書字作文 / 文字の道具的価値 / 文章体 / 会話体 |
Research Abstract |
文章を産出する過程でどのような知識が必要か、また、どのように発達するかについて幼児期〜児童期の入門期前後の子どもを対象に明らかにすることを目的にして、実験研究と観察研究を実施した。 (1)実験研究;1昨年から開始した縦断研究の2年目を実施した。幼児期年長組5月、2月時点で行なった口頭作文と書字作文の資料の揃っている小学校1年生の児童を対象に、5月と9月の2時点に、特定のテ-マを与えて、口頭様式と書字様式で物語作文、説明作文を産出させ、産出過程を観察した。これらのデ-タと視写テストや読書力テスト等で測定した読み書き能力や文字の道具的価値についてのインタビュ-デ-タとを比較し、関連を検討することにより、作文産出に関わる知識と、その発達過程について一定の関連を明らかにした。その結果、幼児期の終わりには口頭での文章表現力はかなり整ってくるが、書字能力の個人差はきわめて大きく、口頭作文に比べて書字作文能力は極めて低い。しかし、5月ごろにはかなり書字力が出てきて、文字の道具的価値も認識しはじめる。産出過程では外言を随伴させ、1字ずつ書く書き方もかなり観察され、外言による制御が必要である。しかし、9月には、読み書き能力が格段と進歩するに従って、句読点などの基本技能が習得され、書字速度は短縮され、誤字率は低くなる。また、書字過程に外言の随伴も見られなくなるに呼応して、自発的に誤字や文の修正ができるようになり、読み書き能力の個人差は少なくなる。口頭作文では、幼児期の終わりに半数が会話体から文章体に移行し、書字作文では、1年生の9月に半数が文章体に移行することが明らかになった。 (2)観察研究;1年生1学期〜3学期までに週に1度の割合で、国語の授業を観察し、担当教師にインタビュ-を行った。(1)の結果と対応させて、教授法と読み書き能力の発達の関連を検討した。
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Research Products
(1 results)