1991 Fiscal Year Annual Research Report
方言主流社会における方言と共通語の使い分け行動と使い分け意識に関する調査・研究
Project/Area Number |
02801053
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 和之 弘前大学, 人文学部, 助教授 (40133912)
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Keywords | 津軽方言 / 共通語 / 国語教育 / 言語意識 / 言語行動 / 東京 / マスコミ / バイリンガル |
Research Abstract |
方言で生活することが日常の地域社会においては、共通語が中心の社会とは違った「ことばの使い分けル-ル」があってしかるべきであるし、均質な学校教育から離れて、地域社会における方言の使われ方や役割などについて、それぞれの地域で話し合われなければならない。本研究は青森県津軽地方に住む人々のことばや地域に対する感じる方や、考え方、そして実際にとっている言語行動などを調査することから、方言主流社会における共通語と方言の関係や使い分けに対する地域の人々の考え方などを整理しようとしたものである。 本年度は時に、職業の違いに重点をおいての調査・考察を行った。これまでの調査成果から、津軽地方の人たちは津軽方言の規範的ものとして弘前市の方言を支持していることが明らかとなっている。そこで、弘前市在住の人々をその職業から5層(接客販売業・農業・大学生・自営業・事務職)に分類しての調査を行った(50名調査)。また学校教育と方言の関係を調べるために、実際に教育に携わっている教師を3層(小学校教諭・中学校教諭・高校教諭)に分類しての調査を行った(100名調査)。また昨年までの調査結果から、地域の人々は共通語の手本としての役割をテレビに大きく依存している、ということも明らかになっている。そこで共通語の送り手であるマスコミ関係者の行動や意識と対比できるように、津軽で生まれ育ち、現在、津軽地方のマスコミで活躍している人々を3層(アナウンサ-、放送記者、新聞記者)に分類し、100名の調査を行った。それらの調査結果は、デ-タ処理ソフトに入力し、主成分分析や林の数量化理論などを用いての分析を定量的に行い、多面的な考察を加えた。その結果は報告書として現在まとめつつある。総じて地域社会は、方言と共通語のバイリンガル化を望んでおり、共通語化は進行するものの、方言が消失するということはないようである。
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Research Products
(2 results)