1990 Fiscal Year Annual Research Report
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02801063
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
壇辻 正剛 関西大学, 文学部, 助教授 (10188469)
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Keywords | 弁別素性(distinctive features) / 階層構造 / 音声学 / 生成音韻論 / 非線条音韻論 / 音声分析 / 知覚実験 / 調音機構 |
Research Abstract |
本研究では、個々の素性の部分的な修正ではなく、弁別素性の枠組み全面に見直しの検討を試みた。とりわけ、従来、一元的に配列されていた弁別素性に階層構造を設定する試みが特に最近盛んになってきたので、重点的に研究を行った。従来の研究では階層構造の設定には、記述の経済性の原理や調音機構の特徴が用いられてきたが、本研究ではこの素性の階層構造の設定の問題に、聴覚機構の研究や、音声認識・音声分析の最新の研究の成果を取入れて研究の進展を計った。人関の聴覚機構は現在の時点ではブラック・ボックス的であり、直接観察するわけにはいかないが、間接的には聴覚機構を参照することは可能である。その1つの方法として、人間の知覚テストの結果と機械の識別テストの結果とを対照させて検討する方法を試みた。人間の知覚テストの結果、誤認識を起こさないということはそれらの音の聴覚印象が充分に異なったもの、すなわち、聴覚的に離れた距離にあることを意味するが、逆に、誤認識されやすい場合には聴覚印象が似ており、聴覚的な距離が短いことを意味する。現行の弁別素性の枠組みでは、Jakobson等であれ、生成音韻論であれ、聴覚的な距離の遠近関係が捉えられておらず、聴覚的な現象を正しく反映していないことになる。そこで、枝分れ図を利用して、知覚実験の結果を反映した人間の聴覚的距離に基づいた階層構造の設定を試み、ある程度、聴覚構造の距離感を反映する表現法を考案した。枝分れ図では有声/無声の対立が1番下位のレベルになり、有声音と無声音の間の聴覚的距離が短く、誤認識が生起しやすいことを示した。また、生成音韻論の砕組みではlabialーcoronal、coronalーlabial、labialーdorsal間の角度の大小で聴覚的距離の長短を反映した階層構造設定を試みた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] DANTSUJI,M: "A Tentative Approach to the Acoustic Feature Model" Revue de Phone^^'tique Appliquee,Mons,BELGIUM.No.91,92,93. 147-159 (1990(1989))
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[Publications] 壇辻 正剛: "音声デ-タベ-スのラベリングに関する一検討" 『日本語音声』研究報告. No.3. 32-37 (1990)
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[Publications] 壇辻 正剛: "スペクトログラムを利用した音声デ-タベ-スの多層ラベリングに関する一検討" 『日本語音声』研究報告. No.4. 46-47 (1990)
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[Publications] 崎山 理・佐藤 昭裕編: "『アジアの諸言語と一般言語学』(「シンハラ語の半鼻音(halfーnasals)に関する音響音声学的研究」担当)" 三省堂,
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[Publications] Hiroya Fujisaki,Editorーin Chief: "Recent Research Toward Advanced ManーMachine Interface Through Spoken Language (A Preliminary Study on a New Acoustic Feature Model for Speech Recognition,pp.103ー112担当)" The Steering Group of the Priority Area Research,