1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02801064
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
小田 弘美 麻布大学, 教養部, 専任講師 (50177234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 朗子 麻布大学, 教養部, 専任講師 (70206936)
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Keywords | 言語学 / 意味論 / 形態論 / 認知科学 / 神経回路網 / コネクショニズム / 日本語 / 英語 |
Research Abstract |
本年度の研究計画としては第一に、日本語のデ-タ収集とその意味のベクトルによる表示の方法の開発、第二は神経回路網モデルの中でもどのようなモデルを用いるかを決定し、名詞の動詞化の可能性をモデルが学習できるかどうかを見ることによって分析の妥当性を見ていくことであった。デ-タについては収集作業を継続すると共に、日本語と英語の名詞の用法を数多く選び出し、意味素性を数多く設定し、各々のfeatureについての値を決めて行くということを中心に行った。実際には、従来の意味素性の多くは名詞のコンテキストを抜きにした場合を念頭にしており、コンテキストの中での意味を素性によって表示するという作業は困難を伴うものであった。現段階としては文のフレ-ムを設定し、その文中で自然に用いられるかどうかという判断によって一つの素性を決定するという方法に到達している。理論モデルについて昨年度は、神経回路網モデルの言語研究への妥当性を検証するため「お」と「ご」という日本語の接頭辞の問題を単純な2層のモデルによって学習するモデルを完成したが、今回、多様な名詞を含む問題に応用しようという際にさらに問題が発生し、Jeff Elmanの提案するRecursive Neural Networkを採用することとした。この方式によれば、モ-ラの数を気にせず1モ-ラづつ入力することが可能となり、語の最後で中間層にその語全体の音声の分散表現(distributed representation)が得られることになる。さらにリズムやモ-ラ数といった情報も蓄えることができる。そこで意味表示を与え、学習を進めるというモデルが現在の到達点である。デ-タ分析と神経回路網モデルについての検討を進めてきたが、現在、デ-タをモデルに実際に入力して学習させるという段階に到達したところである。モデルに名詞の意味情報を与え動詞化が可能か、またその用法、意味を予測できるか、という点が次の問題である。
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