1991 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全型経済社会の実現可能性とその政策体系のあり方に関する経済学的研究
Project/Area Number |
02803004
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
寺西 俊一 一橋大学, 経済学部, 助教授 (30134878)
|
Keywords | 環境と経済の相互関係 / 環境保全型経済社会 / 経済発展と環境保全 / 環境経済学 / 環境コスト / 社会的費用(ソ-シャル・コスト) / 地球環境問題 / 環境破壊の国際化 |
Research Abstract |
私の申請研究課題の目的は以下の3点を追求することにある。すなわち、(1)「経済と環境の相互関係」について新しい視点からの理論的再検討を加えること,(2)(1)を踏まえて、「環境保全型経済社会の実現可能性とその原理」を解明すること,そして(3)以上をもとに,これまでの先進国型経済社会が陥っている「経済発展と環境保全とのジレンマ」を克服していく道筋とそのための新しい政策体係のあり方を理論的・実証的に探求すること:以上の3点である。 第2年度にあたる平成3年度では,当初計画に基本的に沿って、申請研究を遂行した。すなわち「経済と環境の相互関係」を,人間社会の発展段階に即して,大きく歴史的に素描し,その中でとりわけ近代の産業革命以降にみる工業化と都市化のプロセスに焦点をあてながら,近代以降の「経済と環境の相互関係」にみる独自な構造的特質を理論的に究明した。その際,私自身の当面の仮説的な理論的経理の枠組みについて,その有効性の検討を行ない,また従来までの経済学の理論体系との関連づけについて,一定の整理とまとめを行った。(植田・落合・北畠・寺西芝著『環境経済学』有斐閣ブックス.参照)。 また,近年,いわゆる地球環境問題への関心と取り組みが内外における重要テ-マとしてクロ-ズアップしてきたことを受けて,一部,当初計画を変更し,この点に関する最新の情報や文献のフォロ-にも努め,この地球環境問題に対する経済学的な整理・検討も行なった。この点については,別場の拙著『地球環境問題の政治経済学』東洋経済新報社刊(1992年3月)の中に,その成果をまとめた。
|
-
[Publications] 寺西 俊一: "「“世界都市"と“東京問題"ー若干の覚え書きー」" 『経済学研究32』(一橋大学研究年報〈1991〉). 32. 161-213 (1991)
-
[Publications] 寺西 俊一: "「自然を開発するプロジェクトの是非はどう判断すべきか」" 『かんきょう』(日本環境協会). 14-15 (1991)
-
[Publications] 寺西 俊一: "「環境保全型の経済と社会への組み替えをいかに進めるか」" 『自然保護』(日本自然保護協会). 4-6 (1992)
-
[Publications] Schunichi TERANISHI(with T.AKIYAMA,K.UETA,S.Fujisaki: "“Development and Environment:The Case of East Asian Countries."" T.Iwasaki,T.Mori and H.Yamaguchi ed.,Development Strategies for 2lst Century,Inst,tmte of Developing Economiies. 536-545 (1992)
-
[Publications] 寺西 俊一: "「環境経済学の課題と方法」" 『一橋論叢』(一橋学会). vol.107,No.4. 101-115 (1992)
-
[Publications] 寺西 俊一: "「“国際化する環境問題"の政治経済学」" 『明治大学社会科学研究所公開講演集第15号〈1991年度〉』. (1992)
-
[Publications] 植田 和弘,落合 仁司,北畠 佳房,寺西 俊一著: "『環境経済学』(第一章「環境経済論の課題」第二章「物質代謝論アプロ-チ」第六章「経済体制論アプロ-チ」第十章「社会経済構造と環境政策」)以上,分担執筆" 有斐閣, 258 (1991)
-
[Publications] 寺西 俊一著: "『地球環境問題の政治経済学』" 東洋経済新報社, 244 (1992)