1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02804010
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
赤石 義紀 北海道大学, 理学部, 助教授 (50001839)
|
Keywords | ハイパ-核 / シグマ粒子 / ケイオン / ストレンジネス |
Research Abstract |
軽いシグマハイパ-核の存在を確定するために、現実的相互作用を用いて、シグマ粒子を含む4体系の構造を調べた。この系は強いアイソスピン依存のポテンシャルによって結合しており、核子の系やラムダ粒子を含む系とはひじょうに異なっている。この特徴ある状態は、飛行中のKを吸収する反応によって良く観測することができるので、この場合のスペクトルを計算した。Kの運動量を400MeV/cから750MeV/cの間で変えると、束縛状態へのピ-クの高さが敏感にかわることを示した。この高さを求める要因は2つある。1つは、反応によってはまたシグマ粒子の反跳が大きいか小さいかである。この反跳が最も小さくなるのは450MeV/cのときで、このときピ-クは最も高くなる。他の1つは素過程に関わるもので、調べた運動量の範囲では低い運動量ほど有利である。以上からみて、理論的には、Kの運動量450MeV/cが最も望ましいことがわかった。このシグマ・ハイパ-核を観測するための実験が我々の結果を用いてプロポ-ズされ、この4月からアメリカのブル-クヘブンで行われることになっている。実験的には、Kのビ-ムは700MeV/cで強く、450MeV/cになると極端によわくなるので不利である。そこで、理論的条件と実験的条件の間をとって、実際の実験は600MeV/cで行なわれることになった。6月頃には実験結果も整理され、このシグマ・ハイパ-核の存在と、その構造についての詳細な情報が得られるものと思われる。この結果、より、シグマ・ハイパ-核の分野の研究が大きく進歩することが期待できる。
|