1990 Fiscal Year Annual Research Report
一般化された注入のある凝集系における定常的べき分布
Project/Area Number |
02804022
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高安 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (00183062)
|
Keywords | 凝集現象 / べき分布 / 緩和 / フラクタル / 有限サイズ効果 |
Research Abstract |
まず、注入のある凝集系の1次元及び、平均場の場合において、定常解の安定性と緩和の様子を理論的に解析した。定常状能において実現するべき分布のべきの指数が注入の型依存することは、すでに得られていたが、緩和の場合には、単にべきの指数にとどまらず、関数型までが注入の型に依存することがわかった。すなわち、平均が0でない注入の場合には拡張指数型(exp(ーt^a)、a≧2)ですばやく緩和し、平均が0となる注入の場合にはべき型(t^<-b>,O<b<1)でゆっくりと緩和する。このような緩和の関数型は、定常解からのずれが十分小さい時に成立するのであるが、一般的にいかなる初期状態から出発しても必ずべき分布の定常態に収束することが明らかにできた。 また、注入の大きさがべき分布になっている場合や、空間的に一様に注入するのではなく、フラクタル的に注入する場合に関しても解析した。その結果、定常分布のべきの指数が連続的に変化することがわかった。 さらに、数値シミュレ-ションで避けることのできない有限サイズ効果を見積る方法についても検討した。システムサイズが有限の場合にはそのサイズで決まる臨界時刻Tcが存在し、Tc以前では指数を大きめに見積りやすく、Tc以後では小さめに見積りやすくなることがわかった。つまり、Tcの前と後での指数の間に真の値が存在することになり、シミュレ-ションの結果から高い精度で指数を見積ることが可能になることと期待される。 本年度の研究計画で予定していた、2次元、3次元空間でのシミュレ-ションは、パ-ソナルコンピュ-タの納入が著しく遅れたため(平成2年12月下旬)、未だに準備的な段階までにしか到達していない。
|
Research Products
(1 results)