1991 Fiscal Year Annual Research Report
有機ラジカルを媒介とする磁気相互作用およびそれに基く抵抗異常と磁気秩序形成
Project/Area Number |
02804029
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
菅野 忠 明治学院大学, 一般教養部, 助教授 (60134657)
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Keywords | 有機導体 / 有機磁性体 / 磁気相互作用 / 抵抗異常 / 磁気秩序 |
Research Abstract |
昨年度に引続き,本補助金を用いて薬品および寒剤を購入し,磁気モ-メントを有する遷移金属アニオンを対イオンとするTTF誘導体のカチオンラジカル塩の合成と電気および磁気測定を行なった。これと平行して,有機分子のみから成る,遍歴電子系と局在電子系の両者を含む錯体を得る目的で,有機中性ラジカルを分子の一部に持つ電子供与性分子を合成し,それ自身およびその電荷移動錯体の電気および磁気測定を行なった。錯体の電気伝導率は低いものが多く,当初の目的に適ったものは得られなかったが,研究の過程において有機ラジカルを媒介として分子間に強磁性および反強磁性相互作用を示す物質群を見いだした。それは,有機中性ラジカルであるαーニトロニルニトロキシドの,窒素原子を含む有機ヘテロ環化合物およびアミノフェニル誘導体であり,なかでも3ーキノリル誘導体は交換結合定数J/k=0.3Kの分子間強磁性相互作用を示すことがわかった。3ーキノリル誘導体の磁性について取りまとめて論文誌に投稿した。分子間に強磁性相互作用を示す有機結晶固体は未だ数が限られており,3ーキノリル誘導体の結晶構造解析を行ない,その構造と磁性の関係を調べている。一方,反強磁性相互作用を示すものも多く,とりわけpージエチルアミノフェニル誘導体は一次元規則的等方性Heisenberg反強磁性体に特有の磁化率の温度依存性と等温磁化曲線とを示すことを見いだした。一次元規則的等方性Heisenberg反強磁性体の例は無機物質にも余り見られず,1.7Kの低温で20Tまでの強磁場下で等温磁化曲線を測定し,等温磁化曲線が一次元規則的等方性Heisenberg反強磁性体について理論的に予測された通りになることを確め,Solid State communications誌に発表した。引き続き,伝導性の高い有機ラジカルの錯体を得るために,新しい錯体の合成と物性測定を行なっている。
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[Publications] T.Sugano: "Magnetic interactions between electron spins on organic molecules and halogenometalate ions in TTFー and BEDTーTTFーMX_4 complexes(M=Mn,Co,Cu)" Synthetic Metals. 41ー43. 2217-2220 (1991)
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[Publications] T.Sugano: "Magnetic interactions among unpaired electrons in chargeーtransfer complexes of organic donors having a neutral radical" Synthetic Metals. 41ー43. 3281-3284 (1991)
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[Publications] T.Sugano: "Oneーdimensional regular isotropic Heisenberg antiferroーmagnetism in an organic radical pーdiethylaminophenyl nitronyl nitroxide [DEAPNN]:Observation of spinーflop" Solid State Communications. 80. 1021-1023 (1991)
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[Publications] T.Sugano: "Ferromagnetic intermolecular interaction in an organic radical 3ーquinolyl αーnitronyl nitroxide(3ーΩNNN)" Chemical Physics Letters.
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[Publications] 木下 實: "「高分子機能材料」第5巻第6章磁性材料" 共立出版,