1990 Fiscal Year Annual Research Report
ス-パ-・クラスタ-及び極超微粒子の質量分析法による直接観測
Project/Area Number |
02804034
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
篠原 久典 三重大学, 工学部, 助教授 (50132725)
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Keywords | 分子クラスタ- / リフレクトロン / TOF質量分析計 / 超音速分子線 / レ-ザ-2光子イオン化 / 蒸発 / ポストアクセレレ-ション |
Research Abstract |
気相の原子・分子クラスタ-の研究は、最近、急速な発展を遂げつつある。本研究では特に、質量数が数千〜万程度の大きなサイズのクラスタ-の観測をこころみた。ベンゼン、或いはフルオロベンゼンなどの有機分子クラスタ-、及びアンモニアやアルコ-ルなどの水素結合型クラスタ-を新熱膨張法で生成させた。サイズ数は、有機分子クラスタ-で50量体程度、水素結合型クラスタ-で100量体程度のものは容易に生成することが出来た。検出は、質量分析法の中でも質量分解能に優れ、またイオン透過率の良いリフレクトロン型の飛行時間(TOF)質量分析法を用いた。観測限界のサイズ数は、本実験システムでは主に次の2点にあることをつきとめた:(1)実際に、超音速クラスタ-分子線法で生成する気相クラスタ-には上限(サイズ教の)があること,(2)検出に用いたチャネルプレ-ト電子増倍管の検出率が、質量数2〜3千を越えると急激に減少すること,の2点である。ポスト・アクセレレ-ション法と組み合せた、検出方法により、本実験では〜5,000程度の質量数のクラスタ-は、比較的容易にレ-ザ-2光子イオン化を用いて観測することに成功した。また、サイズ教が数十の分子クラスタ-の蒸発も観測することに成功した。これは、レ-ザ-による2光子イオン化後、1〜数μsの早期の蒸発過程と,数μs〜数100μsの間に起こる後期の蒸発過程に分けることが出来る。これらの蒸発過程では、共に、大きなサイズのクラスタ-程、蒸発し易いことが解明された。本研究を通じて、大きなサイズのクラスタ-検出に於ける間題点が明かにされた、と同時にその単分子蒸発過程が解明された。
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[Publications] H.Shinohara: "Photoionization Mass Spectroscopic Studies of Ethylene and Acetylene Clusters" J.Phys.Chem.94. 6718-6723 (1990)
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[Publications] H.Shinohara: "Metastable Dissociation Dynamics of Molecular Cluster Ions" Z.Phys.D. in press.
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[Publications] H.Shinohara: "Metastable dissociation Dynamics of Benzene and Fluorobenzane Clusters" J.Chem.Phys.Submitted.
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[Publications] 篠原 久典: "レ-ザ-イオン化・飛行時間型質量分析法による分子クラスタ-の研究" 質量分析. 38. 43-63 (1990)
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[Publications] 正畠 宏祐: "光化学と分光計測:第3講 分子線技術" 分光研究. 39. 187-202 (1990)
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[Publications] 篠原 久典: "固体C_<60>クラスタ-の発見" 化学. 46. 70-70 (1991)