1991 Fiscal Year Annual Research Report
シリセニウムイオンの合成とその化学的挙動に関する研究
Project/Area Number |
02804036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
照井 従子 東北大学, 理学部, 助手 (00197815)
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Keywords | 有機ケイ素化合物 / シリセニウムイオン / ジシレン / ポリシラン / 電子移動反応 / 低配位 / ラジカルカチオン |
Research Abstract |
炭素化学において3価のカルベニウムイオンは重要な中間体である。一方、カルベニウムイオンのケイ素類似体である低配位のシリセニウムイオンは溶液中では存在しないとされている。本研究は二重結合ケイ素化合物やポリシラン化合物を電子移動酸化することにより、溶液中で安定なシリセニウムイオンを合成することを目的として研究した。特に、本年度はケイ素鎖を複数個有するオリゴシランを強い電子受容体であるジシアノアントラセン(DCA)やトリス(pーブロモフェニル)アミニウム塩を触媒として一電子酸化し、オリゴシランの解裂様式を詳細に検討した。その結果、オリゴシランのSiーSi結合の切断位置に選択性が見られなかった(表1)。本研究の結果はポリシランの電子移動型酸化反応で選択的にシリセニウムイオンを合成することは因難である事を示唆している。また、本年度はSi=Si二重結合化学種であるジシレン前駆体を新たに開発する事ができた。即ち、反応活性なジシレンを芳香環上にマスクした一連の7,8ージシラ[2.2.2]オクタジエン類を系統的に合成でき、シリセニウムイオンを溶液中で発生できる可能性を切り開く事ができた。
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