1990 Fiscal Year Annual Research Report
植物培養細胞による生化学的物質変換ー不斉誘起反応の解明と開発
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02804042
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 敏文 広島大学, 理学部, 教授 (80033926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗貞 清貴 広島大学, 理学部, 助手 (30166235)
泉 俊輔 広島大学, 理学部, 助手 (90203116)
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Keywords | タバコ培養細胞 / 還元酵素 / エノン系化合物 / 炭素ー炭素二重結合 / 立体特異性 / 基質特異性 / 不斉誘起反応 |
Research Abstract |
生体の巧妙な代謝制御や効率のよい物質生産機能を化学的・生化学的に解明し、このような機能を有機化学分子の合成や変換に活用するための基礎研究を計画した。本年度は特に、タバコ培養細胞がカルボニル基と共役する炭素ー炭素二重結合を立体特異的に還元する機能に注目して以下の研究を遂行した。 1.エノン系化合物の生物変換における培養細胞の還元機能を明確にするために、炭素ー炭素二重結合の還元に関与する酵素系を分画・精製し、その酵素の諸特性を調べた。ゲル瀘過系およびアフィニティ-系カラムを用いることによって還元酵素は約150倍に精製された。この酵素は分子量約90000で、NADHを補酵素とする還元酵素であった。 2.この酵素系に種々の立体構造を有するエノン系化合物を投与してその反応性と生成物の立体構造を調べ、この酵素系の基質選択性と立体特異性を解明した。この酵素はカルボニル基のβ位に水素原子を持つエノン類の炭素ー炭素二重結合のみを還元し、水素原子を持たないエノン類は還元しないことがわかった。 3.カルボンを基質として、 ^2Hで標識した補酵素NADPHを用いて酵素反応を行ない、これを ^2H NMRを用いて追跡・解析し、炭素ー炭素二重結合の還元の立体化学を解明した。カルボニル基のα位についてはSi面から媒質の水の水素が、β位についてはre面からNADHのproー4S水素がaiti付加の様式で立体特異的に付加されることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Hirata: "Volatile Monoterpenoid Constituents of the Plantlets of Mentha spicata Produced by Shoot Tip Culture" Phytochemistry. 29. 493-495 (1990)
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[Publications] T.Suga: "Biotransformation of Exogenous Substrates by Plant Cell Cultures" Phytochemistry. 29. 2393-2406 (1990)