1990 Fiscal Year Annual Research Report
光情報による植物の分化・代謝発現とタンパク質リン酸化反応
Project/Area Number |
02804057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 重雄 京都大学, 薬学部, 助手 (30115878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 通明 岐阜薬科大学, 助教授 (00027335)
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Keywords | タチジャコウソウ / タイム / モノテルペン / 腺鱗 / 腺毛 / フィトクロム / 光情報伝達 / リン酸化反応 |
Research Abstract |
光情報による植物の分化・代謝発現とタンパク質リン酸化反応の関係を調べ、以下のような結果を得た。 1.タチジャコウソウ実生を用い、腺鱗(head cellが8〜12細胞からなる)だけでなく腺毛(head cellが1細胞からなる)も、モノテルペン生成に関与していることを新たに見い出した。また、その形態形成が、腺鱗同様にフィトクロ-ム支配を受けていることを明らかにすることができた。 2.光処理した実生の子葉から抽出した蛋白をSDSーPAGEで泳動後、チロシンがリン酸化された蛋白のバンドを、リン酸化チロシン特異抗体を用いて検出した結果、約30kDaの蛋白の量が、赤色光近赤外光により可逆的に増減していることが判明した。すなわち、本蛋白はフィトクロ-ムを介して調節されており、その早い消長からシグナル物質として働いている可能性が示唆された。 しかし、リン酸化された蛋白のバンドが、約2回に1度の割合で検出できず、その原因を究明中である。タチジャコウソウの種子を新たに購入したので、そのせいかとも考えたが、形態形成等の反応には、良い再現性が認められた。また、光処理した後のサンプルの保存も、瞬時に凍結して暗黒下に保存しているので、保存上の問題はないと思われる。リン酸化チロシン特異抗体の変性も認められなかった。他方、本植物の子葉中の蛋白量は、動物に比べ約十分の一と低く、抽出にその原因があるのかもしれない。現在、抽出時に蛋白質を変性させるフェノ-ル性物質や、本バンドを乱す物質(塩?)の除去を試みている。
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