1990 Fiscal Year Annual Research Report
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02804062
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安藤 正昭 広島大学, 総合科学部, 助教授 (10100976)
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Keywords | ウナギ / 腸 / NaCl輸送 / 水輸送 / アセチルコリン / セロトニン / 心房性ナトリウム利尿ペプチド / ノルアドレナリン |
Research Abstract |
ウナギは淡水より海水に移行すると海水を飲み、それを腸より吸収することにより、脱水に抗している。海水ウナギの腸のNaClと水の吸収はアセチルコリン(ACh)とセロトニン(5ーHT)によって抑えられる。この時の受容体はそれぞれムスカリン性と5ーHT_3タイプであった。実際にウナギの腸を電気的に刺激すると、Cl^-能動輸送を反映している奨膜側陰性の経上皮電位は一過性に低下するが、この低下はAChと5ーHT受容体のアンタゴニストであるアトロピンとICSー205930で70%程抑えられた。このことは電気刺激に依って、ウナギの腸より実際に内因性のAChと5ーHTが放出されている事を示唆している。ウナギの心房より抽出されたANP(eANP)も又NaClと水の吸収を抑えた。しかもその抑制効果はAChや5ーHTより強力で、哺乳類のANPよりも強力であった。一方NaClと水の吸収を高める因子としてはノルアドレナリン(NA)が考えられる。NAはACHと5ーHTの同時投与に依って、塩と水の吸収が低下したときに、受容体を介して、NaClと水の吸収を高めるが、eANPの作用とは拮抗しなかった。 海水ウナギの腸のNaClと水の吸収は、また外液中のHCO_3^-に依存しており、HCO_3^-によって細胞内pHが上昇すれば増大し、低下すれば抑えられる。ウナギの腸の上皮細胞には少なくとも二種類のHCO_3^-輸送機構が存在し、これらHCO_3^-輸送系が上記の調節因子に依って如何に調節されているかを現在調べている。 また新しい調節因子を探す目的で、ウナギの腸をアセトン抽出し、現在アミノ酸5個からなる新しいペプチドが、消化管の収縮を引き起こすことを見ている。しかしこの新規ペプチドは、腸のNaClと水の輸送には全く効果を持たなかった。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Masaaki Ando: "Effects of bicarbonate on salt and water transport across the intestine of the seawater eel" J.exp.Biol.150. 367-379 (1990)
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[Publications] Masaaki Ando,M.V.V.Subramanyam: "Bicarbonate transport systems in the intestine of the seawater eel" J.exp.Biol.150. 381-394 (1990)
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[Publications] Masaaki Ando,Yuko Mori: "Regulation of ion transport across the eel intestine" Jpn.J.Physiol.40. S71 (1990)
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[Publications] 安藤 正昭、竹井 祥郎: "ウナギの腸のイオン輸送に及ぼすANPの影響" 日本動物学会中国四国支部会報. 42. 2 (1990)
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[Publications] T.Uesaka,T.Ikeda,I.Kubota,Y.Muneoka & M.Ando: "Two novel peptides isolated from the intestines of the eel" Zool.Sci. 7. (1990)
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[Publications] Yuko Mori,Masaaki Ando: "Regulation of ion and water transport across the eel intestine:Effects of acetylcholine and serotonin" J.comp.Physiol.
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[Publications] Masaaki Ando,Yoshio Takei: "Effects of eel atrial natriuretic peptide on ion transport across the seawater eel intestine" Zool.Sci.7. (1990)
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[Publications] Kyoko Kondo,Masaaki Ando: "Regulation of NaCl and water transport across the seawater eel intestine:Effects of noradrenaline" Zool.Sci.7. (1990)
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[Publications] 安藤 正昭(岡田正和,重中義信編): "いま気になる最先端の科学 生体制御の章担当" 共立出版, 17 (1990)