1990 Fiscal Year Annual Research Report
太陽エネルギ-による水の熱分解と水素製造に関する基礎的研究
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02805002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
二唐 裕 東北大学, 科学計測研究所, 講師 (90006148)
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Keywords | 水の熱分解 / 酸素透過膜 / カルシア安定化ジルコニア / イットリア安定化ジルコニア / セリア添加YSZ |
Research Abstract |
研究課題について萌芽的研究を行なったので報告する。カルシア安定化ジルコニア(CSZ),イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びセリアを添加したYSZ(CeーYSZ)の試料の作成には所定の量の酸化物原料を混合し,粉体状態で固相反応(1400℃,6h)をさせ、ボ-ルミルにより粉砕・固相反応を3回繰り返した粉体を用いた。粉体を1.5t/cm^2の圧力でチュ-ブ状に水プレスし、1400℃で6h仮焼結し、更に高密度化するため1700℃で7h焼結し、その後チュ-ブの先端部分を厚さ1mm,直径13mmに成形したものをタ-ゲットとした。製作した水素生成装置の熱源にはキセノン・ランプを光源とする太陽炉シュミレ-タ-を用いた。水の熱分解用セルは直径70mmのガラス球でこれに約90℃の温水を供給し、またタ-ゲットを球の中心に置き光を照射して約2000℃に加熱した。水は高温のタ-ゲットに接触して高温水蒸気になりその一部は熱分解する。タ-ゲットの部分を拡散によって透過した酸素はチュ-ブ内に供給したアルゴンガスにより運び出される。タ-ゲットの外表面で発生したガスは水蒸気から分離され、その成分をガスクロマトグラフによって分析した。CSZ及びYSZの場合には水素が明確に得られたがその量は約0.6cm^3/hでエネルギ-変換率は1×10^<ー5>と小さいものであった。これはタ-ゲットの酸素透過率が小さいため熱分解によって発生した酸素及び水に含まれている空気の酸素を効率よく除去することが困難であり、そのため水素と酸素が再結合する事によるものと考えられる。酸素透過率が大きく,従って水素の収量が多い事が期待されるCeーYSZのタ-ゲットについて同様の実験を行なった。このタ-ゲットは熱衝撃に弱く、すぐに壊れてしまい水素を得ることが極めて困難であった。太陽エネルギ-による水の熱分解から水素を高効率に得るためには熱衝撃に強い高融点高効率の酸素透過膜の開発が急務である。
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