1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02805006
|
Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
木内 雄二 拓殖大学, 工学部, 教授 (60092483)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作左部 剛視 拓殖大学, 工学部, 助手 (80092485)
|
Keywords | 電子放射 / 陰極 / MOS構造 / トンネル効果 / 絶縁膜 / 高電界 / 表面障壁 / 酸化膜 |
Research Abstract |
この研究は、MOS構造または絶縁膜につけたゲ-ト電極の近傍からの電子放射の可能性について、動作モデルを考え、実験的に実証しようとするものである。 初年度の平成2年には、まず、MOS構造または絶縁膜で、ゲ-ト電極に高い正の電圧を印加したときの電位分布や電界の様子を考えた。基板から酸化膜または絶縁膜へはFowlerーNordheim形のトンネル効果により電子が注入され、強電界のもとで、酸化膜または絶縁膜を通って表面に達する。ゲ-ト電極直下に来た電子は、そのままゲ-ト電極に流入して無効電流となるが、ゲ-ト電極からわずか離れた所に来た電子は、そこが電荷結合により高い電位になっているので、電子が表面と垂直方向に十分な速度成分を持てれば、表面障壁を越えて真空中に脱出することが可能になる。 コンピュ-タのシミュレ-ションによれば、ゲ-ト電極の縁では電界は表面と平行になり、脱出の可能性はないが、数ミクロン離れた所では表面と垂直な方向の電界の成分があり、電子が真空中に放出される可能性がある。このことは、以前、予備的にMOS構造のサンプルで観測した電子放射の事実を説明することができる。 実験は、拓殖大学に移った初年度なので、装置の整備から始めた。電子放射測定装置の真空度は2×10^<ー6>Torrで物足りないが、これで実験することにした。MOS構造サンプルの作成が間に合わないので、絶縁膜としてCeO蒸着膜を用いた。安定な高低抗膜が作成できるという理由からである。陽極に蛍光体をつけてサンプルに接近させ放射実験をした。ゲ-ト電圧を高くしてゆくと、ゲ-ト電極近傍から沢山の点状の電子放射が認められたが、短時間のうちに消減してしまった。膜が弱く電圧破壊するためで、MOS構造または別の材料の絶縁膜を使用の予定である。
|