1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02805012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小早川 命 京都大学, 工学部, 助教授 (50026332)
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Keywords | 数値流体力学 / 適応格子 / ディジタル制御 / 最適レギュレ-タ |
Research Abstract |
周知のように数値流体力学は,保存形であらわされた双曲型偏微分方程式の境界値問題を数値解析的に解く手法である。この場合,時空の領域を離散化するが,この離散化した空間を計算格子という。数値流体力学は複雑な形状の物体まわりの流れを解くことが多いから,その物体のまわりに適した格子を発生させることが必要である。これを物体適合型格子といゝ,計算格子はほとんど,この物体適合型格子である。計算格子の重要な点は(a)格子線の滑らかと,(b)格子線の直交性の2点である。格子の発生法は大別して,(i)代数的発生法,(ii)解析的発生法の2種類がある。このような方法で発生した計算格子は一般に流体力学の方程式の数値解法の途中では変えない。すなわち,保存則の数値解は固定された計算格子の上で収束まで求められるのが普通である。従って数値解の誤差は計算空間によって異ってくる。適応格子は計算の途中で丸め誤差の大きくなるところへ格子を密に集め,解の精度を高める方法である。適応格子を発生させる方法はいろいろあるが,ここではディジタル制御の最適レギュレ-タを用いて発生させることを試みた。この方法によると従来の方法に比べ適応格子発生に要する計算時間は極めて短くなる。ここでは次の3種類の適応格子の発生法を開発した。 (1)1次元方程式による最適化:1次元Poisson方程式をディジタル化し,適応格子の発生を最適化する。適応場所の補正とスム-ジングが必要。 (2)準1次元方程式による最適化:1次元適応格子の評価関数に3線の角度を制御対象として導入し滑らかさを保持する。スム-ジング不要。 (3)2次元方程式による最適化:2次元Poisson方程式をディジタル化し,適応格子発生を最適化する。格子点はベクトル,マトリクス化される。 適応格子発生に多少時間はかかるが,適応場所の補正,スム-ジングは不要で,斜めの衝撃波に対しても適応格子が発生できる。
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[Publications] 小早川 命: "数値流体力学へ最適制御を用いる試み" 第35回システム制御情報学会研究発表 講演会論文集. 263-264 (1991)
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[Publications] 山田 英太郎,小早川 命: "最適制御理論を用いて適応格子生成法" 第5回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 451-454 (1991)
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[Publications] 小早川 命,山田 英太郎: "最適制御を用いた適応格子生成法" システム制御情報学会論文誌.