1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02805019
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
金沢 憲一 千葉工業大学, 工学部, 助教授 (30169544)
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Keywords | イオン注入 / 切削工具 / 超硬合金 / 表面改質 / 超微小硬度計 |
Research Abstract |
窒素イオンの注入方向を変化させたり,ドリルに注入するために,また注入時に材料からスパッタされたイオンによって近接した注入表面が汚損されるのを防ぐために注入時に工具材料を固定する専用の治具を製作した。また当初予定していたよりも注入工具の切削力変化が大変少ない場合があるため,新たに高感度な切削動力計を製作した。 超硬合金,SKS3,S55C,純チタニウムの各材料への窒素イオンを注入(加速電圧 90keV,注入量 5×10^<17> ions/cm^2)し,炭素鋼S45C,純アルミニウム,純銅,アクリル樹脂,塩化ビニル樹脂の各被削材について旋盤による切削力測定試験を行なった。その結果,切削力の減少効果が認められた工具ー被削材の組合せは,S55Cー純アルミニウム,S55Cーアクリル樹脂,純チタニウムー塩化ビニル樹脂であった。SKS3ー純銅,SKS3ー塩化ビニル樹脂,SKS3ーアクリル樹脂においても切削力に変化があったが,いずれも注入前よりも高くなった。以上のことから切削力を低減(工具表面の摩擦平低減)にはFeが重要な役割をしていることがわかった。また純チタニウムー塩化ビニル樹脂の結果は,窒素イオン注入により表面に安定なTiNが生成され切削力(摩擦力)が低下したものと推察され,以前から確認されているTiを含有する超硬合金やサ-メットへの窒素イオン注入効果も同様な理由によるものと考えられる。 窒素イオン注入されたS55C,SKS,純チタニウムの表面を,超微小硬度計をもちいて深さ方向硬度分布を測定した。その結果いずれも注入により硬度の上昇が認められ,工具表面の改質効果が確認できた。
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