1990 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビ-ムアシスト法によるBi系高温超伝導単結晶配向薄膜の低温成長
Project/Area Number |
02805035
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
遠藤 民生 三重大学, 工学部, 助教授 (80115691)
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Keywords | ビスマス系高温超伝導体 / 単結晶薄膜成長 / イオンビ-ムスパッタ法 / イオンビ-ムアシスト法 / 超薄膜積層法 / 表面マイグレ-ション / 酸化促進 / マイクロ波吸収 |
Research Abstract |
BiSrCaCuO系の高温超伝道薄膜を低温で形成するために以下の実験を行った。1.真空排気系を組み立て、真空チェンバ-を作成した。2.イオンガンと電源(エドワ-ズ製)を購入し、チェンバ-内に取り付けた。3.ステンレス製の継ぎ手配管によってArやO_2などのガス導入系を設置し、電流導入端子(イオンガン、ランプ加熱、熱電対など)を取り付けた。4.BiSrCaCuO系2212およびBi(Pb)SrCaCuO系2223のバルクタ-ゲットをプレス成型して(20mmφ×3mm厚)電気炉で焼成した。Pbは5〜30%(Bi比)までの5種類を準備した。5.タ-ゲットおよび基板ホルダ-をステンレスで作成し、基板加熱用のハロゲンランプを2個(各600W)設置した。6.チェンバ-内に酸素ガスを導入し、圧力を10^<ー3>Torrに保って、加速エネルギ-1.5keVでArイオンビ-ムを発生させ、タ-ゲットをスパッタしてBi系の薄膜を作成した。7.膜厚分布を調べた結果、MgO基板をタ-ゲットに5mmまで近付けると、10mm角の基板内でほぼガウス型に分布していた。イオンビ-ムの反射角上で膜厚が最大を示した。50mmまで離すとほぼ均一な膜厚分布を得た。8.加速エネルギ-を8keVまで増大していくと、成膜速度は増大したが、膜厚分布や組成比はあまり変化しなかった。9.基板温度が700℃以下では薄膜はアモルファスに近く、透明感のある暗黒色で電気伝導を示さなかった。10.700℃では薄膜は金属的で、X線回折の結果、c軸長が24A^^°の相と30A^^°の低Tc相(2212)の混在した膜が得られた。EDXで組成比を調べると、Biが平均20%程度不足することがわかった。11.その他に不純物相としてCuOやCa_2CuO_3なども検出された。12.これらの薄膜を880℃で酸素中アニ-ルすればc軸配向した低Tc相がほぼ単相で得られ、転移温度のオンセットが84K、ゼロ低抗温度が77K付近であることがわかった。13.基板温度700℃の薄膜の低磁場非共鳴マイクロ波吸収を測定した結果、77Kでわずかに吸収が見られたので微小部分では超伝導相が形成されていると思われる。14.880℃でアニ-ルした薄膜ではマイクロ波吸収が大きくなり、超伝導相の体積が増大していることがわかった。
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