1990 Fiscal Year Annual Research Report
“見えない遮音壁"に関する研究ー能動的騒音制御による道路交通騒音低減ー
Project/Area Number |
02805065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 正基 北海道大学, 工学部, 助手 (50180873)
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Keywords | 能動的騒音制御 / 能動騒音制御 / 適応制御 / LMSアルゴリズム / 音場制御 |
Research Abstract |
補助金によって多チャンネル入出力をもつ高速デジタル信号処理システムを利用出来るようになり、これを用いていくつかの基本的な問題を解決した。その1としては、3チャンネルの出力を用いて主に一方向性の指向特性をもつ2次音源を構成することが出来たことがあげられる。これは今後本研究にとっての基礎理論となると考えられるJesselによる音場修正理論にとって必要なものであり、能動的騒音制御対称領域に焦点をあてて制御すること、また不要なフィ-ドバックによる制御システムの不安定化を防止する効果をもつ。その2としては、能動的騒音制御システムの適応制御のためのFilteredーx LMSアルゴリズムをデジタルフィルタ-に組み込むことが出来たことである。制御すべき音場が時間的に変動する場合、自動的にデジタルフィルタ-の係数が変更され、常に最適制御の状態に保たれる必要がある。このためには適応制御の機構が組み込まれていることが実用的な面から必要と考えられる。本研究ではFilteredーx LMSアルゴリズムを最適なものとして利用することにし能動的騒音制御システムに組み込んだ。実験の結果、その動作が充分行われ最適な状態に到達することを確認した。またその収束過程についても検討し、実際の問題に適用する場合における知見を得た。以上の基本的に新しい機能を能動的騒音制御システムに組み込んで行った実験の結果、無響室内における音場で騒音源から放射された騒音を2次音源から放射された音で打ち消し、2次音源の背後で広い消音領域を作り出すことが出来た。これが本研究の今年度における成果である。今後はその理論的な展開について研究し、より具体的な道路構造などの地形の要因がどの様に実際の適用にあたって問題であるかを研究する。
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