1990 Fiscal Year Annual Research Report
注視されない周囲環境情報の記述とその心理的影響に関する研究
Project/Area Number |
02805074
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大野 隆造 神戸大学, 教養部, 助教授 (20160591)
|
Keywords | 視環境 / 住宅地 / 景観 / 評価 |
Research Abstract |
本年度は、樹木配置などの環境構成要素が系統的に異なる住宅地を想定し、視環境変量の測定と模型写真による景観評価実験を行なうことにより、それらの対応関係を以下のように求めた。 1.視環境の定量的記述 建物・地形・樹木デ-タ等を用い、所定の観察点を含む断面図を描き、観察点からの放射状の走査線(視線束)によって視環境属性と視線長を求め、これを繰り返すことによって、全方位にわたる視環境属性分布と視線長分布を得た。この視環境属性分布と視線長分布から、以下の視環境変量を求めた。(1)視環境属性分布から、視環境属性比率の平均値と分散およびシ-クエンス変動係数を求めた。(2)視線長分布から、水平方向より上方の範囲の視線長の相乗平均と分散およびシ-クエンス変動係数を求めた。 2.模型による評価実験 9種の住宅団地の模型(1/250)をモデルスコ-プによりスライド写真を撮影し、それらの連続スライド提示によりシ-クエンス景観を観察させ、言語による評価を43名の被験者に求めた。 3.視環境変量と景観評価との関係 環境緑視量は「自然なー人工的な」、などと相関がみられた。また環境緑視量15%あたりで「好ましい緑量」を問うME法の基準100を越えることから、このあたりを緑量のオプティマムと考える事が出来る。また建物可視量は、環境緑視量と相補的関係が得られた。またシ-クエンス変動係数については、「単調なー変化に富んだ」、「楽しいーつまらない」、などと相関がみられた。天空可視量では、「明るいー暗い」、「乾燥したー湿った」などと相関がみられた。視空間容量については、全方位にわたる半球視空間容量は、「圧迫感のあるー開放的な」、などと明かな相関がみられ、この変量の有効性が確認された。 以上、本年度は視環境変量と評価との個々の対応関係を求め、変量の妥当性を確認するに留まるが、今後、複数の変量の相互作用なども含めた定量的な関係把握を行なう予定である。
|