1990 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性セラミックスの散漫相転移の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
02805078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 薫一 東京大学, 工学部, 講師 (60182010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 剛久 東京大学, 工学部, 助手 (20220478)
佐久間 健人 東京大学, 工学部, 教授 (50005500)
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Keywords | 散漫相転移 / チタン酸バリウム / ドメイン / 強誘電的相転移 / 強誘電体 / 常誘電体 |
Research Abstract |
Batio_3イオン半径が非常に近い酸化物を固溶させると誘電率、自発分極の温度変化依存がなだらかとなる、いわゆる散漫相転移相転移を示す。この発現機構に関しては現在のところ不明な点が多く存在し、未だ解明には至っていない。本研究では、従来行われてきた物性値からのアプロ-チではなく、相転移で生じる変態組織から本相転移の発現機構の解明をおこなった。 まず、BatiO_3単体では約120℃に常誘電、強誘電転移が存在しこの転移に伴い結晶型が立方晶、正方晶へと変化するため、ドメイン組織とよばれる特徴的な組織が生じる。これは、立方晶の高温相において〈100〉方向に若干単位格子が伸びるために生じるもので、この一定方位に揃った領域は自発分極の方位も一定であることが知られている。そこで、BaTiO_3置換型で固溶する事のできるイオンを含むBaZrO_3、BasnO_3等の配化物を固溶させた試料について主に電子顕微鏡を用い温度変化に伴う組織変化観察を行ったところ以下に示す結果が得られた。 BaTiO_3単結晶体では、常誘電、強誘電転移は不連続的に一瞬のうちに完了し、母相(高温相)に対し生じる低温相は一定の晶癖面を有している。これに対し、散漫相転移を示す試料では、まず、常誘電、強誘電転移に伴いかなりの温度範囲をもってゆっくりと変態が進行する事が判明した。さらに、BaTiO_3で認められた様な一定の晶癖面は存在せず、不特定方向に変態が生じた。また、この変態は不連続的ではなく連続的であり、この要因として、格子定数の連続的な変化が考えられた。即ち、散漫相転移は固溶に伴い格子定数変化が温度化に対し、連続的に生じる事がその発現機構の根幹をなすものであるという結論が得られた。
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