1990 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル反応を利用した超イオン伝導性ガラスの作製と動的構造シミュレ-ション
Project/Area Number |
02805082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅崎 則正 大阪大学, 溶接工学研究所, 助手 (70127190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 雅也 大阪市立工業研究所, 研究員
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Keywords | メカノケミカル反応 / 超イオン伝導性ガラス / 微細構造と物性 / 分子動力学シミュレ-ション |
Research Abstract |
超イオン伝導体は、融点よりもずっと低い温度で大きなイオン伝導性を示す物質であり、固体イオニツクスと工業的な関心を集めている。ところで、固体イオニツクスの1種で『ガラスは電気絶縁物である』という一般的常識を破り、10^<-2>ohm^<-1>cm^<-1>程度の電気伝導度を持つ超イオン伝導性ガラスと呼ばれるニュ-ガラスが最近発見され始めている。 そこで、本年度における研究は、通常の雰囲気下でも安定なAgIーAg_2OーMmNn(MmNn:B_2O_3、P_2O_5)系酸化物混合体をメカノケミカル反応に伴う機械的衝撃力を利用してガラス化とその形成機構の解明を試みた。現在の段階では、メカノケミカル反応による完全なガラス(アモルファス)化された試料は得られていないが、一部ガラス化された試料を確認されつつある。今後、メカノケミカル反応に伴う機械的衝撃力を増加させるために、アロイング装置を改良することを試みる予定である。また、原子レベルでのメカノケミカル反応を明らかにするために、現有のレ-ザラマン分光装置やX線回折実験を試み、通常の溶融法で作製されたガラス材料と構造的に差異が少ないことを明らかにしつつある。今後、さらに物性的なキャラクタリゼ-ションを詳細に実施して、原子レベルでの反応を解明する予定である。さらに、これと平行して、超急冷法により過剰のAgIを含むガラス材料を作製することに成功した。これらのガラス材料を中性子線回折(高エルネギ-物理学研究HIT分光器を用いた。)により調べた所、Q【similar or equal】0.6〜08A^^<0-1>付近に小角散乱が現われ、約10^^°のAgIクラスタが存在し、これらが超イオン伝導性に寄与していることを明らかにした。 平成3年度は、メカノケミカル反応のさらに詳細な解明と、超イオン伝導性ガラスの物性探索のための分子動力学シミュレ-ションを実施する予定である。
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