1990 Fiscal Year Annual Research Report
高い不斉識別能を有するキトサン誘導体の合成とキラル液体クロマトグラフィ-への応用
Project/Area Number |
02805089
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
大賀 一也 大分大学, 工学部, 教授 (60037992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉内 芳秋 大分大学, 工学部, 助手 (60117398)
江頭 直義 大分大学, 工学部, 助教授 (90094060)
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Keywords | キトサン / 不斉識別能 / 光学分割 / 高速液体クロマトグラフィ- / キラル固定相 |
Research Abstract |
アミノ多糖キトサンの種々の誘導体を合成し,その不斉識別能を高速液体クロマトグラフィ-のキラル固定相(大孔径シリカゲルにキトサン誘導体を担持)として用いることによって評価した。主に,キラル中心にアリ-ル基を有するオキシラン類,アルコ-ル類,カルボニル化合物を分析対象ラセミ体として検討し,次のような結果および知見を得た。 1.水酸基のみをフェニルカルバモイル化した場合,キトサンと同じ低い不斉識別能しか与えなかった。一方Nーアリリデンキトサンのフェニルカルバモイル誘導体では,大きな分離係数が得られるものもあった。おそらくこの結果は,Nーアリリデン誘導体でのグルコサミンユニットあたり3個導入された芳香環によるポリマ-主鎖の固定によるものと考えられる。 2.Nーアリリデン基の種類による分離係数,容量比の大きな変化や購入した示差屈折率検出器を用いたアルキル置換のラセミ体の分析から,Nーアリリデン基とセラミ体間のπーπ相互作用や立体障害が,Nーアリリデン誘導体の光学分割能に重要な影響を及ぼしていることがわかった。また,高い分割能を得るためにはキラル部位であるキトサン骨格に近い部位での相互作用が必要であることも示唆された。 3.NーCBZ芳香族アミノ酸で修飾したキトサンの場合,アミノ酸部位のキラリティ-の違いによるエナンチオマ-の溶出順序の逆転はなく,光学分割にキトサン骨格が重要な役割をしていることがわかった。 4.Nー(2ーヒドロキシベンジル)キトサンの銅キレ-トでは,水酸基を有する多環芳香族化合物のみしか光学分割できなかった。
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