1991 Fiscal Year Annual Research Report
構造用ファインセラミックスの高温高圧水中での腐食挙動
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02805094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉尾 哲夫 岡山大学, 工学部, 助教授 (70032943)
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Keywords | ムライトセラミックス / 高温高圧水腐食 / 原料粉体合成法 / 耐食性 / 粉体の化学組成 / アルコキシド法 / 共沈法 / 強度劣化 |
Research Abstract |
前年度行った非月化物系の代表的な構造用セラミックスである窒化ケイ素セラミックスに対し,本年度は酸化物系のムライトセラミックスに対して同様の手法を適用した。種々の合成法の原料粉体により作製された高純度ムライトセラミックスの高温高圧水中(300℃;8.6Mpa)における腐食試験を行い,1.腐食挙動,2.耐食性,化学的安定性への粉体合成法,化学組成の影響,ならびに3.強度劣化,について検討し,以下の知見を得た。 1.ムライトセラミックスの高温高圧水中での腐食は,3Al_2O_3・2SiO_2+3H_2O→6AlOOH+2SiO_2,の式にしたがって,腐食層として残留するベ-マイト(AlOOH)の生成とSiO_2の溶出により,腐食時間とともに減量を伴う腐食層中へのH_2Oの拡散律速反応によって進行する。 2.耐食性の程度は,化学組成よりもAl_2O_3とSiO_2成分の混合状態を支配する原料粉体合成法に依在する。本実験の範囲では,ゾル-ゲル法粉体を用いた焼結体が最も耐食性に劣り,アルコキシド法,共沈法が均一混合粉体と見なし得る有利な結果が得られた。その範囲では,ムライト単一組成(74wt%Al_2O_3)<理論組成(72wt%Al_2O_3)の順に耐食性が優れ,粉体合成法よりも組成に依存する結果を得た。また,固相反応にもかかわらず,副成分としてZrO_2を添加した焼結体が高い耐食性を示すことも判明した。 3.腐食による強度劣化は,腐食の程度には関係なく,腐食初期に著しく低下し,以後は30〜40%程度の劣化に止まる一定の傾向が見い出され,腐食基体表面の幾何学的腐食形態に依存すると思われる結果が得られた。 以上の研究成果は,すでに日本セラミックス協会学術論文誌へ投稿し,掲載決定となっている(1992年5月号)
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[Publications] 吉尾 哲夫: "高温高圧水環境中での常圧焼結窒化ケイ素セラミックスの腐食形態" 材料と環境. 40. 96-102 (1991)
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[Publications] 吉尾 哲夫: "300℃の水中におけるムライトセラミックスの腐食挙動" 日本セラミックス協会学術論文誌. 100. (1992)
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[Publications] 吉尾 哲夫: "TiB_2セラミックスの高温酸化に及ぼす水蒸気の影響" 日本セラミックス協会学術論文誌.
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[Publications] 吉尾 哲夫: "21世紀へ羽ばたくセラミックス(第1編第1章5節,セラミックスと水との反応ー構造用セラミックスの耐水環境性ー)" (社)日本セラミックス協会, 7 (1991)