1990 Fiscal Year Annual Research Report
Mn^<2+>ーおよびCd^<2+>ー錯体を用いた核酸系生理活性物質の簡便で効率的な合成
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02805105
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
沢井 宏明 群馬大学, 工学部, 教授 (70012648)
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Keywords | 核酸 / 生理活性物質 / 二価金属イオン触媒 / Mn^<2+>ー錯体 / Cd^<2+>ー錯体 / ピロりん酸結合 / 合成 / 補酵素類 |
Research Abstract |
1.ヌクレオチド(アデニル酸、ウリジル酸、グアニル酸、シチジル酸、イノシン酸)とイミダゾ-ルとの反応で対応するヌクレオシドホスホイミダゾリド(ImpA、ImpU、ImpG、ImpC、ImpI)を合成した。 2.これらヌクレオシドホスホイミダゾリドと対応するヌクレオシドー5'ー一りん酸の反応を種々の二価金属イオン存在下、中性水溶液中室温で行い、ピロりん酸結合含有生成物ジヌクレオシド二りん酸を高速液体クロマトグラフィ-で分析し、いずれの場合もMn^<2+>、Cd^<2+>あるいはMg^<2+>が高い活性を有することを認めた。 3.ピロりん酸結合生成物の収率は核酸塩基により大きく異なり、プリン系のA、Gは高いのに対し、ピリミジン系のC、Uでは低い。基質と核酸塩基同志の相互作用が反応に大きく影響することを明らかにした。 4.このMn^<2+>あるいはCd^<2+>錯体を経由するピロりん酸結合形成反応を応用してImpAとATPよりDNA合成促進剤Ap_4Aを水溶液中、簡便な操作で合成した。同様にしてImpGとGTPより高収率でGp_4Gの合成を行った。 5.さらに反応基質のりん酸化合物として、種々の糖りん酸化合物、ホスホリルコリン、ピロりん酸あるいはニコチンアミドーりん酸を用いることにより、多糖類生合成中間体であるヌクレオシドー糖二りん酸、脂質生合成中間体のCDPーコリン、ATPあるいあ補酵素NAD糖の水溶液中での合成が達せられた。これらの合成反応ではいずれも基質のりん酸化合物とヌクレオシドホスホイミダゾリドがMn^<2+>などの二価金属イオンに配位した中間体を経由して進行する。 6.グアニル酸をメチル化した7ーメチルグアニル酸より7ーメチルグアノシンー5'ーイミダゾリド(ImpG^7Me)を合成した。現在Mn^<2+>あるいはCd^<2+>を用いたImpG^7Meと数種のヌクレオチドとのピロりん酸結合形成反応を行い、mRNAのキャップ部分合成への展開をはかっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Sawai: "Divalent Metal IonーMediated Phosphodiester Bond Formation from Adenosineー5'ーphosphorimidazolide with Glycolic Acid or Lactic Acid in Aqueous Solution.A Nonenzymatic Model Reactin for Nucleotidyl Transfer." Bull.Chem.Soc.Jpn,. 63. 692-696 (1990)
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[Publications] M.Shimazu,K.Shinozuka and H.Sawai: "Facile Synthesis of Nucleotides Containing Polyphosphates by Mn(II)and Cd(II)IonーCatalyzed Pyrophosphate Bond Formation in Aqueous Solution." Tetrahedron Lett.,. 31. 235-238 (1990)
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[Publications] 沢井 宏明: "核酸と金属との相互作用に基づく核酸反応の制御" 化学工業. 49. 860-867 (1990)