1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02806003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 俊郎 岡山大学, 農学部, 助教授 (10032301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 誠一 岡山大学, 農学部, 教授 (20205173)
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Keywords | ダイズ / 形態 / 診断 / 花房次位 / 収量 |
Research Abstract |
ダイズの開花習性には花房の形態的序列(花房次位)が基本的な役割を果たしており,収量成立過程の解明に対して重要な手がかりを与えるものと思われる。そこで,(1)ダイズ品種における花器脱落習性および(2)ダイズ品種の花房次位別結莢に及ぼす遮光の影響について検討を加えた。 まず花房次位を同定しながら花器脱落の追跡調査を行った。早期に開花した花には結莢に至るものが多く認められ,低次位のものが早く,高次位で遅いことが明らかであり,早期に開花する花が結莢しやすいことは,低次位花房の結莢率が高いことに起因していた。低次位では開花がほとんど終了してから脱落が始まるのに対し,高次位では開花途中から脱落が始まった。既開花の低次位との競合に加えて同次位内でも強度の競合があると思われる。各花ごとの開花から脱落まで日数の頻度分布をみると,10日頃のものには脱落が少なく,この時期以前を落花,以後を落莢とするのが適当と考えられた。落莢は開花後48日目のものまで連続的に認められ,これら傾向はいずれの花房次位においても共通して認められた。花器(莢)数の推移を有効花と無効花に大別し,さらに花房次位を分別すると,(1)有効花が開花している途中,すでに一部で脱落が生じ,(2)有効花がほとんど開花した後にもなお無効花数の増加がみられ,(3)それらは主として高次位花房で占められたこと,などが注目された。 時期別遮光実験では初期に分化する低次位が障害を受けた場合,高次位がその補償をすると予測されたが,実際に補償的な現象がみられたのは低次位花蕾数が抑制された区に限られた。一方,低次位の開花期に処理した区では低次位のみの減少にとどまらず,また高次位の開花盛期に処理した区でもやはり低次位にまで影響が及んだ。 以上の知見はダイズの外部形態による生育診断の基礎的資料,例えば着莢相のモデル化に有効と思われた。
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