1990 Fiscal Year Annual Research Report
魚類遊泳の脊髄内神経機構に関する電気生理学的基礎研究
Project/Area Number |
02806037
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
植松 一眞 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (00116542)
|
Keywords | コイ / 遊泳運動 / 遊泳中枢 / 体側筋 / 筋電図 / 脊髄 / 運動ニュ-ロン / 脊髄腹根 |
Research Abstract |
[遊泳運動の誘起と遊永中枢]体重100〜150gのコイCyprinus carpioの自発的運動をネンブタ-ルの腹腔内注射により抑制した。左右の血合筋および普通筋に筋電図導出用電極を装着した後、後部胴体のみが動かせるように鰓潅流装置に固定した。ついで、露出した脳に、ステンレス電極を少しずつ刺入しながら、微小刺激を加えた。中脳の最も尾側の部分の正中部付近、脳室のすぐ腹側に刺激電極の先端があるときにのみ、緩やかな遊泳運動が誘起された。この時、同じレベルの左右の筋節からは交互に規則正しい叢放電が記録された。遊泳運動が起こる刺激強度の閾値は2〜5μAであった。有効な刺激領域にある内側縦束核と赤核のニュ-ロン内のあるものが遊泳運動の開始と調節に関与していると考えられる。この領域を「遊泳中枢」と呼ぶ。 [脊髄腹根からの記録]上と同じ方法で遊泳運動を誘起した魚をクラ-レの注射により不動化した。腹根の血合筋支配枝に吸引電極を装着し、遊泳中枢に電気刺激を加えた。腹根からは規則正しい叢放電が記録された。刺激強度もしくは刺激頻度を上げると,叢放電のリズムは速まり、振幅は増大した。叢放電の持続時間は反対に短縮した。遊泳中枢から脊髄への強度が高まると、遊泳運動のリズムは加速されることが示唆される。 [脊髄運動ニュ-ロンの逆行性標識]脊髄腹根に含まれる軸索の起始運動ニュ-ロンをHRPで逆行性標識した。運動ニュ-ロンは血合筋支配細胞(rMN)も普通筋支配細胞(wMN)も、注入部を後縁とする脊髄セグメントの全域に分布した。rMNの大きさのモ-ドは30ー40μmで、中心管より腹側の脊髄前角の全域に分布する。wMNの大きさのモ-ドは20ー40μmであるが、これ以外に60ー80μmに大型ニュ-ロンのあることが特徴である。wMNの分布は中心管周辺の脊髄前角全域だき、内側と外側の2つの集団に分かれている傾向も見えた。
|
Research Products
(1 results)