1991 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体前葉におけるプロラクチン産生細胞の分化機構の解明
Project/Area Number |
02807001
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
井上 金治 群馬大学, 内分泌研究所, 助教授 (50091963)
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Keywords | 下垂体前葉 / 成長ホルモン細胞 / プロラクチン細胞 / 分化 / 転化 / インスリン / EGF / ソマトマンモトロフ |
Research Abstract |
先に独自に樹立したMATIS細胞は成長ホルモン(GH)のみを産生しプロラクチン(PRL)は作らない。これまでの研究からMATISにインスリン(INS)ないしインスリン様成長因子(IGF)を添加するとGH細胞としての特徴を有するMATISがGHの産生が著しく抑制されPRL細胞が出現することを免疫細胞化学、Western hloffing法、ラジオイムノアッセイ系によって明らかにした。この発見は内分泌細胞のように高度に機機能分化した細胞が他の機能相に分化転換することを示している。これまで,動物を使用した実験からPRL細胞はGH細胞から出現する可能性が示摘されていたが,我々の発見はこの直接的な証明である。一方,INSやIGFは単独で作用した場合にはPRLの出現には3〜4日間必要であるが,INS等にEGFを加えると分化転換は著しく加速され1〜2日後にかなりの数のPRL細胞が出現する。またこの時にGHとPRLを同時に持つ細胞すなわちソマトマンモトロフ(Somatomammotroph)が出現する。これはGHからPRLへの分化転換が加速されたためにGHとしての性質が完全に失なわれる前にPRLの産生が始まったためと考えている。従来より,下垂体にソマトマンモトロフが存在することが知られていたが,その意味は明らかでなかった。我々の今回の発見はその意味を考える上で重要であると考え,その機構の詳しい解析を行っている。
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[Publications] K.lnoue et.al.: "Conversion of growth hormoneーSecreting cells into prolactimーSecreting Cells and its promotion by insulin and insulinーlike growth factorー1 in Vitro" Experimental Cell Research. 195. 53-58 (1991)
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[Publications] K.lnoue et al.: "The Cellーadhesive effect of basic fibroblast growth factor on pituitary Cells in Vitro" J.Endocrinology. 130. 381-386 (1991)
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[Publications] S.Nagata et.al.: "Estrogenーinsulin synergism in induction of prolactin in growth hormoneーproducing cells." Molecular aid Ceilular Endocrinology. 82. 215-220 (1991)
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[Publications] N、Fujimoto et al.: "Estrogen receptor levels and tumor growth in a series of pituitary alonal Cell line Rats." Jpn.J.Comser Res.82. 1436-1441 (1991)
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[Publications] 井上 金治: "内分泌細胞は機能転換する?" 脳腸ホルモン学会ニュ-ス. 6. 4-6 (1991)