1990 Fiscal Year Annual Research Report
腸管における粘膜筋板の形態、神経支配および運動特性に関する研究
Project/Area Number |
02807008
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石川 一志 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90125394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 毅 岡崎国立共同研究機構生理学研究所, 助教授 (20045694)
|
Keywords | 粘膜筋板 / 近位結腸 / モルモット / 形態 / 神経 / 運動 / 潅流 |
Research Abstract |
1.形態学的研究 1)モルモット近位結腸の粘膜筋板は縦走及び輪状の2方向の平滑筋細胞により構成されていたが、縦走する平滑筋の方がはるかに厚く、輪状の成分は1ー2層の菲薄な層であった。本筋は基本的には外筋層の筋細胞と同様の構造であったが、直径がやや小さく、ミトコンドリアが豊富であった。2)下行大動脈にカニュ-レを挿入して確実に腸管を潅流する技術を開発したので、歪みや収縮の少ない状態で組織を採取する事が可能になった。平成3年度にはこの組織標本を用いて形態計測を行い、定量的研究を完成させる。 2.生理学的研究 1)一連の恒温潅流装置を改良し、極力摩擦抵抗を減らすことにより、微細な標本の運動を記録できるようにした。2)外筋層を剥離除去し、縦8ー10mm、幅1ー2mmの粘膜筋板の条片標本を作製した。本標本の運動を上記装置で潅流し、再現性の良い等張性収縮を記録した。3)本標本は1分間に15ー20回の規則的な自発性収縮を示した。4)壁内神経叢の電気刺激では、数秒以内に最大となる収縮と、漸増し刺激開始約3分後に最大値を示す2相性収縮を示した。10^<ー5>Mのアトロピン存在下では前者は完全に抑制されたが、後者は抑制されず、10^<ー6>Mのテトロドトキシンによってはじめて完全に消失した。10^<ー5>Mのグアネシジンはこれらの収縮に全く影響を及ぼさなかった。故に、速い収縮はコリン作働性神経によるもの、遅い収縮は非コリン作働性・非アドレナリン作働性神経によるものと考えられる。 3.平成3年度はこのアトロピン抵抗性の収縮がどのような神経を介して起きているのかを免疫組織化学的手法と生理学的・薬理学的手法により追求する。
|