1991 Fiscal Year Annual Research Report
高コントラストカメラと細胞内潅流法を用いた神経突起伸長運動の分子機構の解析
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02807014
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes National institute for Physiological Sciences Grant-in-Aid for Scientific Research (C) |
Principal Investigator |
山口 和彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00191221)
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Keywords | 培養神経細胞 / 神経突起伸長 / 成長円錐 / Caチャネル / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
本年度は哺乳類培養神経細胞の成長円錐部における神経突起伸長運動の調節機構を明らかにするために、成長円錐部の細胞内潅流をパッチピペット法を用いて行った。神経細胞の成長円錐部膜は、細胞外の情報を受容し細胞内に伝達する役割を果たしているが、哺乳類成長円錐部膜の生理学的性質は不明であった。また突起伸長に細胞内Ca濃度が重要であると考えられてる。そこでCaチャネルが哺乳類培養神経細胞の成長円錐部膜に存在するか否かを調べた。細胞内をCs溶液で潅流しKチャネルを阻害しTEA,Caを含むNa無しの細胞外液中でCa電流を測定した。その結果、電位依存性Caチャネルが存在していることが明らかになった。このCaチャネルは-40mVよりも脱分極側で活性化されるもので5μMLaにより阻害された。不活性化時間経過は比較的遅いもので、ωコノトキシン(2μM)によって阻害されるものとニフェディピン(2μM)によって阻害されるものがあった。一過性低閾値Caチャネル(T型)は現在のところ確認されていない。パッチピペットによる細胞内潅流法ではピペットが光路を撹乱しフィロポデイア内の微小粒子の流動運動を観察することが困難であったため、比較的照明条件を乱さないガラス微小管を用いて細胞外からの電気刺激により電位依存性Caチャネルを活性化させ、先端部の細胞内Ca濃度を上昇させることを試みた。高コントラストカメラを用いて観察しながらパルス刺激を加えると比較的大きな細胞内顆粒(直径約0.3μm)の運動が高まり、これより少し刺激を強めると先端部にいたる迄の顆粒が激しくブラウン運動様の運動を始め、多くの場合不可逆的であり、先端部Ca濃度の微妙な制御は困難であった。本研究により哺乳類培養神経細胞の成長錐部フィロポディア内で顆粒の流動運動が観察され、また成長円錐部膜に高閾値Caチャネルが存在することが明らかになった。細胞内Caと流動運動の因果関係について更に検討したい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamaguchi,Kazuhiko: "Acetylcholine reduces K-current in the cultured chick cochlea ganglion neuron." Neuroscience Research. Suppl14. S132 (1991)
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[Publications] Yamaguchi,Kazuhiko: "Intracellular mechanism of K-current suppression by ACh in the cultured chick cochlear ganglion neuron." Japanese Jounal of Physiology. 41Suppl.S214 (1991)
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[Publications] Yamaguchi,Kazuhiko,Ohmori,H.: "Suppression of the slow K-current by cholinergic agonists in cultured chick cochlear ganglion neurones." Journal of Physiology. (1992)
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[Publications] Yamaguchi,Kazuhiko: "Voltage gated ionic channels in the growth cone membrane of the cultured rat sensory ganglion neuron." Journal of Newoscience.
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[Publications] Nakajima,Y.;Stanfield,P.R.;Yamaguchi,K.;Kakajima,S.: "The Basal Forebrain" Editors.Napier,T.C.,Kalivas,P.W.Harin,I. Plemum,New York, (PP157-167)11 (1991)