1990 Fiscal Year Annual Research Report
サル視床下核破壊によるバリスムモデルの淡蒼球細胞活動の解析
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02807015
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
浜田 生馬 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生理学研究部門, 主事研究員 (70150191)
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Keywords | バリスム / 視床下核 / 淡蒼球 / 大脳基底核 |
Research Abstract |
この課題では、視床下核の破壊によるバリスムモデルのサルの淡蒼球の活動を解析し、異常運動の発現と随意運動の製御に対する大脳基底核視床下核、淡蒼球の役割を明らかにする事を目的とする。本年度は、まず視床下核の確実な破壊によりバリスム類似の異常運動を再現性よく発現する方法を確立する事を目標とした。単一細胞の発射活動の記録により生理学的に視床下核を同定してその部位だけを壊すために細胞活動の記録と、神経毒の微量注入が同時に行える注入・記録装置を新たに開発した。これは、外径500ミクロンのガイドチュ-ブ、外径300ミクロンの注入用カニュ-レ、外径50ミクロンの記録用タングステン線の3重構造で、カニュ-レ開口部から突き出したタングステン線の断端で注入部位の近傍のニュ-ロン活動を、注入時にも連続的に記録できる。この注入・記録装置を確実に操作できる油圧式電極駆動装置の改良を行なった。この装置を用いて電気生理学的に視床下核の同定をして、核内微小領域に1ulの神経毒イボテン酸(10ug/1ul)を注入した。注入後数分で注入部位の周辺の視床下核細胞の活動電位はほぼ完全に消失した。実験後の組織学的検査により1回の注入で約1.2立方ミリ,容積比で視床下核の8パ-セントで細胞体の消失が明暸に認められた。注入後30ー40分後に注入と反対側の上肢、下肢にはっきりと異常運動が認められ、60ー80分後には、肩関節の内転外転、大腿関節の内転外転を主とする激しい異常運動が観察された。異常運動は、4ー6時間の間続いた。他日部位を変えて再注入を行い、4回にわたり同様の異常運動を引き起こすことができた。以上のように、異常運動の再現性の高い発現という目標はほぼ達成した。今後不随意運動にともなう淡蒼球細胞の活動をしらべて、発射パタ-ン、発射頻度、筋電図との時間関係の検討によって正常な随意運動にともなう淡蒼球細胞の活動と何が異なっているかを明らかにする。
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