1991 Fiscal Year Annual Research Report
サル視床下核破壊によるバリスムモデルの淡蒼球細胞活動の解析
Project/Area Number |
02807015
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neurosciences |
Principal Investigator |
浜田 生馬 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経生理学研究部門, 主事研究員 (70150191)
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Keywords | バリスム / 視床下核 / 淡蒼球 / 大脳基底核 |
Research Abstract |
この課題では、視床下核の破壊によるバリスムモデルのサルの淡蒼球の活動を解析し、異常運動の発現に対する視床下核、淡蒼球の役割を明らかにする事を目的とする。この異常運動は、淡蒼球内節に対する視床下核から抑制が失われた結果と考えられてきた。しかし視床下核ー淡蒼球投射の性質については、むしろ興奮ではないかと考えられる実験結果が近年次々と得られており、異常運動と視床下核の関係についてもあらためて見直す必要がある。われわれは、無麻酔のサルで実験的に視床下核を破壊し、淡蒼球のニュ-ロン活動に起こる変化を調べた。サルには肘の屈曲伸展によってハンドルを一定の位置に保持する運動課題を行なわせた。視床下核の破壊の前と後に同じサルの淡蒼球ニュ-ロンの課題運動遂行中の活動を記録し比較した。視床下核は細胞体のみを破壊する薬剤、イボテン酸を微量注入して破壊した。実験後の組織学的検査により、破壊部位は視床下核内に限局していること、2頭のサルで、それぞれ、30%および70%の領域が破壊されていることを確認した。視床下核の破壊後、淡蒼球の内節及び外節のニュ-ロンのスパイク発射頻度は大幅に減少した。2頭のサルの内節で視床下核の破壊後に記録された180個のニュ-ロンのハンドル保持中の発射頻度の平均は毎秒46.0±22.3で、これは破壊前に記録した169個のニュ-ロンの発射頻度の平均の毎秒69.9±21.6に比べて有意(p<0.001)に低い。外節でも視床下核の破壊後に記録された208個のニュ-ロンの発射頻度の平均は毎秒41.0±18.1で、破壊前の218個のニュ-ロンの平均の毎秒63.6±25.1に比べて有意(p<0.001)に低かった。これらの結果は、淡蒼球の内節および外節にたいして視床下核が興奮性の入力源であるという考えを支持する。視床下核の破壊による異常運動は淡蒼球内節の出力の減少によって起こると考えられる。
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